宇宙の話をしよう
作 小野雅裕 絵 利根川初美
SB Creative
[目次]
内容紹介
本書は、 子供から大人まで、心躍る冒険をするように宇宙発展の歴史等の話をワクワク読める一冊です。
本書の中で、将来は科学者と宇宙飛行士になりたい12歳の女の子のミーちゃんとNASAジェット推進研究所で宇宙探索機を作っているエンジンのパパとの会話を一緒に楽しんでいるうちに、人類が宇宙を目指す壮大でワクワクする物語にひき込まれていきます。
そして、宇宙やロケットを理解するための基礎知識がコラムで丁寧に解説されてます。例えば、露米独の3か国でロケットの父と称されたツィオルコフスキー、ゴダード、オベールの3人ともが、ジュール・ベルヌのSF小説『地球から月へ』を読んで宇宙に目覚めたこと、ロケット推進の原理であるロケットの方程式、宇宙のダークマター、ロケット開発の基礎となった弾道ミサイル開発、アインシュタインの相対性理論などです。
本書は、自分の子供の頃にあったらよかったと思う本です。子供の宇宙への興味のきっかけになること間違いなしです。大人にも十分な内容です。多くの人に読んでもらいたい一冊です。
出版社のお勧めポイント
NASAの父と娘による宇宙探査のストーリー
NASAの技術者である父と、その娘みーちゃんとの対話を通して、宇宙探査の歴史が語られます。
わかりやすく、親しみやすいストーリー展開と、世界観を表現するイラストたち。
その途中には、ここでしか読めない宇宙をテーマにした美しくディープなコラムも差し込まれ、図鑑としても読めます。
火星探査の最前線で活躍する著者が生み出した、全くあたらしい宇宙の定番書。
10年後もそばに置いておきたい、珠玉の児童書が誕生しました。
出版社からのコメント
(著者からのメッセージ)
なぜこの本を書いたのか
なぜ子どものための本を作りたいと思ったか。最初の動機は非常に個人的なものでした。
娘のミーちゃんのための本を書きたかったからです。
今回の本は2年前に出版した「宇宙に命はあるのか」の第1章を子ども向けに再構成し加筆したものです。
全部で5章あるので、ぜんぶで5巻になります。
1年に1巻ずつ出していけば、ちょうどミーちゃんが小学3年生になる頃に完結します。
娘の夢を縛る意図は毛頭ありませんが、僕の宇宙への思いや考えを、後に残る形で伝えられればと思いました。
ですが、企画がスタートする頃になると、もっと大きな目的が加わりました。
作中に出てくる架空の12歳の「ミーちゃん」は宇宙と恐竜が大好きな女の子ですが、クラスメイトから「変な子」と言われ、興味を共有できる友達がおらず、孤独を感じています。
僕自身が昔、そういう子でした。
ですが、僕にとって幸運だったのは、宇宙の話をできる父がいたことでした。
技術者にして天文マニアの父は僕に様々なことを教えてくれただけでなく、僕の知識自慢をいつも聞いてくれ、それを素直に褒めてくれました。
友達がいなくても、父と話すことで僕の承認欲求は満たされ、存在の危機から救われました。
では、もし父が側にいなかったら?
僕はもっと孤独だったでしょう。そして宇宙への熱も早々に冷めていたかもしれません。
きっとそんな子どもたちが日本に少なからずいるでしょう。
孤独な宇宙っ子たちにとって、興味を語り合える父親のような存在の本を書きたい。
それが、この本の目指すところです。
しかし、どうすれば本が父親代わりになれるのでしょう?
語るだけでなく、聞いてあげる本にすることだと思いました。
宇宙っ子たちはすでに図鑑やインターネットで膨大な知識を蓄えています。
彼ら彼女らはもっと知りたいだけではありません。知っていることを語りたいのです。
一方的に「知識を与える」本ではいけません。
子どもに「へー、そんなことも知っているんだ、物知りだね! 」と褒めてあげるような本にしなければいけないと思いました。
この本を昔の僕のような子どもたちの側にいてあげられるような本にすること。
孤独な宇宙っ子たちの心に寄り添い、その夢を応援してあげられるような本に仕上げること。
それが、僕の今の目標です。
(小野雅裕) (SB Creative)
著者等紹介
作・小野雅裕(おの まさひろ)
NASAジェット推進研究所(Jet Propulsion Laboratory)技術者。火星ローバー・パーサヴィアランスの自動運転ソフトウェアの開発や地上管制に携わる他、将来の宇宙探査機の自律化に向けた様々な研究を行なっている。 1982年大阪生まれ、東京育ち。2005年東京大学工学部航空宇宙工学科卒業。2012年マサチューセッツ工科大学(MIT)航空宇宙工学科博士課程および同技術政策プログラム修士課程修了。2012年より慶應義塾大学理工学部の助教。2013年より現職。2016年よりミーちゃんのパパ。阪神ファン。『スター・ウォーズ』が大好き。好物はたくあんだが、塩分を控えるために現在節制中。 著書に『宇宙を目指して海を渡る』(2014)、『宇宙に命はあるのか』(2018)。短編小説『天梯』にて第24回織田作之助賞・青春賞受賞(緒野雅裕名義)。
絵・利根川 初美(とねがわ はつみ)
イラストレーター。1967年静岡生まれ、静岡育ち。静岡大学教育学部・養護教員課程卒。子どもの頃から宇宙と海、絵を描くことを好む。大学卒業後、広告代理店でデザイナーとして務めた後、独立。グラフィックデザイン、イラストレーション、本づくりの事務所823designを開設する。2017年、静岡大学アートマネジメントコース修了。2020年、直感を使ってアートを楽しむジェネシスアート・ティーチャーズコース修了。
本書の目次
第1部 宇宙時代の夜明け
1 私は変人!?
2 『地球から月へ』―すべてはこのSFから始まった
3 SFの父、ジュール・ベルヌの心に宿った「何か」
4 ロシアのロケットの父、ツィオルコフスキーのロケット方程式
5 アメリカのロケットの父、ゴダードの夢と挫折
6 ドイツのロケットの父、オーベルトがつないだ宇宙へのバトン
ドーナッツ休憩の部
7 宇宙はどこにある?
第2部 天才ロケット技術者フォン・ブラウンの栄光と闇
8 史上初めて宇宙へ行った謎のロケット、V2
9 宇宙への夢に忍び寄る戦争の影
10 悲しみのロケット
11 自由への逃亡―フォン・ブラウン、アメリカへ渡る
12 ソ連の天才ロケット技術者、コロリョフ
13 それでも夢をあきらめない
14 スプートニクは歌う
15 ついに巡ってきたチャンス―エクスプローラー1号、宇宙へ!
16 地球から月へ―人が想像することはすべて実現できる