読書日記

お薦めの本を紹介します

特捜部長はなぜ逮捕されたか

勾留百二十日 特捜部長はなぜ逮捕されたか

大坪弘道(元・大阪地検特捜部長)   文藝春秋  
勾留百二十日  特捜部長はなぜ逮捕されたか

勾留百二十日  特捜部長はなぜ逮捕されたか

 

「郵便不正事件」での主任検事による「フロッピーディスク改ざん」で犯人隠匿の罪に問われた元検事・検察幹部の手記です。

 本書では、大坪氏は検察の組織防衛のための逮捕という、自分への最高検の仕打ちに対する怨みに終始している。そして、歴代の検察官の中でなぜ自分だけがと煩悶するだけで、冤罪事件を指揮した反省もない。この試練が天意の導きだとか、人を逮捕・拘禁する立場から逮捕・拘禁される立場への落差は一般人よりも大きいなどと述べていることが、外の世界が見えていないことを物語っいる。

                                       村木さんや冤罪に陥れられた一般人は、検察の人間によって過酷な人生に引き込まれたのであり、逮捕・拘禁される立場など、落差どころか本来知る必要もなかった異次元の世界に放り込まれたに等しかったに違いない。被疑者に自供を迫るための人質司法について検察の特権のように書いているが、一般人から見れば拷問のように恐ろしいことであることを分かっていない。また、村木さんの手記からも、自分を励ますことしか学んでいない。
 検察の威信だけのためにこの身を捧げてきたというが、そもそもそのような著者の、あるいは多くの検察の人間の、検察のためにというあり方が、過ちを繰り返す温床となっているのではないのか。

大坪氏は、無罪の村木厚子さんに対し、特捜部長として指揮したのだから、責任を感じてないのか。

 自ら拘束される立場になって、はじめて拘束されることの厳しさと辛さを身をもって思い知った、と記してあるので、司法修習のときに2週間くらい勾留の擬似体験はできないのかと思った。

内容紹介

 フロッピー改ざん事件で犯人隠匿の罪に問われ、逮捕・起訴された元・大阪地検特捜部長の大坪弘道氏の手記です。

 逮捕する側が逮捕される側に墜ちる。これまで数々の事件を指揮、本丸に迫るために、多くの人間を逮捕を逮捕・起訴してきた検事が、手錠をかけられ、まったく逆の立場におかれたとき何を考えたのか。

 特捜部長として捜査を指揮し、厚生省の村木厚子局長を逮捕・起訴した郵便不正事件。実はその証拠が主任検事によって改ざんされたものだと朝日新聞が報じてから、自身が逮捕されるにいたるまでにつけていた9日間のメモ、さらに、拘置所に120日にわたって勾留された際の日記をもとに、大坪氏自身がボールペンをいくつも潰しながら書き上げたものです。

  最高検に報告に上京した際に、ホテルを訪ね、取引をもちかけてきた大物ヤメ検も実名で登場、手のうちの全てを互いに知り尽くした最高検での取り調べの心理作戦。長引く勾留で出てきた拘禁状態。家族の支え。山口地検時代に広島高検検事長だった吉永祐介氏に見いだされ、大阪地検特捜部に抜擢されるまでの検事としての青雲の志。何がどう誤ってしまったのか。逆の立場になって初めてわかった村木氏の思い。これまで逮捕起訴して有罪になった人からの支援。

 少なくともこの本には、これまで世の中には知られていなかった大坪特捜部長自らの悩みと思考の経過が正直に書かれています。一審の判決は2012年の3月、これまでこうした手記の出版は判決に不利になるからと、判決後に出すのが普通でした。公判が続く中での被告の手記の出版という意味でも異例。覚悟の手記!

著者紹介

大坪 弘道(おおつぼ・ひろみち)

日本の元検察官。法務省保護局総務課長、大阪地方検察庁特別捜査部長京都地方検察庁次席検事等を歴任していたが、大阪地検特捜部主任検事証拠改ざん事件において、大阪地検特捜部当時の部下であった元副部長・佐賀元明及び元検事・前田恒彦とともに逮捕・起訴され、1審、2審ともに有罪判決を言い渡された。また、法務大臣からは懲戒免職の処分を受けた。

目次

プロローグ 元特捜部長の苦悩と鎮魂

第一章 逮捕の夜

第二章 最高検との攻防

第三章 恐るべき検察権力

第四章 内なる敵との戦い

第五章 私の二十七年間の検察人生

第六章 天意

エピローグ 一生分の涙

参考図書

 

関連サイト

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