ぼくは 13歳 職業、兵士。
あなたが戦争のある村で生まれたら
鬼丸昌也 小川真吾 合同出版
ぼくは13歳 職業、兵士。―あなたが戦争のある村で生まれたら
- 作者: 鬼丸昌也,小川真吾
- 出版社/メーカー: 合同出版
- 発売日: 2005/11/01
- メディア: 単行本
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本書は、子どもが大人の道具として、戦場にかりだされ、人間扱いされていない現状を伝えている本です。その原因は小型武器の開発・普及にあります。
国連の元アナン事務総長は「犠牲者の数からいえば、小型武器は事実上の大量破壊兵器」と発言しています。なぜなら、世界で起こっている紛争の死傷者の90%以上が、この小型武器で死傷しているからです。
子ども兵は、強制的に徴兵される場合もあれば、貧困ゆえに自ら志願する場合もあります。
子ども兵は戦闘の訓練として、親や友人を殺すことを強要されることもあるといいます。
これを実行すると、もはや人を殺すことに何のとまどいも覚えない殺人マシーンと化してしまいます。
子どもが兵士にされる理由はいろいろありますが、なんといっても、AK47(カラシニコフ)など子どもでも扱える小型兵器が大量に流通したことが挙げられます。
この小型兵器は、1989年に冷戦が終結すると、東欧諸国では不要になったため、紛争地帯に大量に輸出されたそうです。
世界で起こっている紛争の死傷者の90%以上が小型兵器によって殺害されている。
実際には使用されない核兵器より、小型兵器の方がよほど恐ろしい。
このような小型兵器がなくならないのは、先進工業国には小型兵器を生産してビジネスをしている人が大勢いて、今も大量に生産されているからです。
アメリカ、イギリス、フランスの3カ国が武器貿易によって得ている利益は、この3カ国が発展途上国に対して実施しているODAの額を上回ると言われてます。
そして、紛争地帯ではたいてい天然資源の奪い合いが起きていて、「資源の輸出→小型兵器の輸入→紛争が激化→資源の輸出」という負のサイクルが起きています。
こうしてみると、発展途上国で子ども兵が生まれてしまうのは、資源を消費して武器を生産している先進工業国の責任とも言えます。
この小型兵器の流通を取り締まるためには条約の整備が不可欠です。
そこで、2009年より国際的な委譲を規制する武器貿易条約について議論され始めています。
内容紹介
この本は、子どもたちが直面してる深刻な問題について書かれています。毎年50万人、毎分1人の命が小型武器によって失われています。とくに小型武器を持たされ兵士として戦わされてきた子ども兵の問題は深刻です。
たとえそれがどんなに困難で恐ろしい問題だとしても、今の時代が抱えるこの絶望的な問題を、まず理解することが大切です。もし、若い世代の人々が、現状から目を背けず、何が起こっているのかをよく学び、理解したときに、はじめて、私たちに何ができるか未来への希望が見えてくるのです。そのために大切なことが、この本には書かれてます。
問題は深刻であっても、この本は希望を見い出すための本です。二人の著者は小型武器と子どもたちが抱える暗く厳しい問題の解決に向けて実際に取り組んでいるNGOの活動家でもあります。
著者紹介
鬼丸 昌也(おにまる・まさや)
特定非営利活動法人テラ・ルネッサンス理事長。日本小型武器行動ネットワーク運営委員。1979年、福岡県生まれ。立命館大学法学部卒。高校在学中にアリヤラトネ博士(スリランカの農村開発指導者)と出逢い、「すべての人に未来を造りだす力がある」と教えられる。2001年、カンボジアを訪れ、地雷被害の問題を知り、多くの人に伝えるための講演活動を始める。「全ての生命が安心して生活できる社会の実現」をめざすNGO「テラ・ルネッサンス」設立。カンボジアでの地雷除去支援・義肢装具士の育成、日本国内での平和理解教育、ウガンダ北部での子ども兵の実態調査、小型武器の不法取引規制に関するキャンペーンなどを実施。2002年、(社)日本青年会議所人間力大賞受賞。2005年、ウガンダ北部での元・子ども兵の自立支援事業を開始する。
小川 真吾(おがわ・しんご)
特定非営利活動法人テラ・ルネッサンス理事(ウガンダ駐在代表)。日本小型武器行動ネットワーク運営委員。1975年、和歌山県生まれ。学生時代、カルカッタでマザーテレサの臨終に遭遇、マザーテレサの施設でボランティア活動に参加。国際協力やNGOの活動を本格的に始める。1998年、青年海外協力隊員としてハンガリーに派遣され、旧ユーゴ諸国とスポーツを通じた平和親善活動などに従事。2002年よりネットワーク「地球村」職員としてアフガニスタンでの支援活動に携わる。ヨハネスブルクサミットなどの国連会議、世界社会フォーラム(WSF)、世界市民社会フォーラム(WCSF)などの国際会議に出席。現在、テラ・ルネッサンス理事、ウガンダ北部での元子ども兵士社会復帰プロジェクト現地責任者。世界37カ国を訪問した体験をもとに貧困、子ども兵、小型武器問題、国際協力についての講演・執筆活動をおこなっている。
目次
日本のみなさまへ・・・国連平和大使 ジェーン・クドール
第1章 ぼくらがウガンダで出会った子ども兵
第2章 武器を持たされた30万人の子ども
第3章 子ども兵の心と体に残るもの
第4章 子ども兵と小型武器
第5章 小型武器は世界に何を引き起こすか
第6章 誰が小型武器を作っているのか
第7章 子ども兵と小型武器をなくすために
第8章 世界中で子ども兵をなくす取り組みが始まっている
第9章 世界で小型武器を規制する取り組みが始まっている
第10章 日本の私たちにできること
引用・参考文献
あとがきにかえて