読書日記

お薦めの本を紹介します

問題は英国ではない、EUなのだ

 問題は英国ではない、EUなのだー21世紀の新・国家論

       エマニュエル・トッド (訳)堀 茂樹  文春新書

 

本書は様々な問題を論じていますが、根底にあるのは、ネオリアリズム及びグローバルゼイションの終焉です。

 英国のEU離脱に関して以外だったのは、EU離脱の投票分布地図において、保守党地盤の南部地域でも、労働党地盤の北部地域でも、等しく「離脱」に票を投じていることです。そして、このことがイギリスを破壊するかのように見えていた南北の亀裂が消滅したことを意味します。あたかも、国民投票によってイギリス社会の再統合がすでに少し開始されたかのように、とのべています。

 トッドの歴史の方法ー「予言」はいかにして可能なのか?の章は、トッドの生い立ちの話、歴史人口学等について、楽しく読めました。

内容紹介

現代最高の知識人、トッドの最新見解を集めた”切れ味抜群”の時事論集。テロ、移民、難民、人種差別、経済危機、格差拡大、ポピュリズムなどテーマは多岐にわたるが、いずれも「グローバリズムの限界」という問題につながっている。英国のEU離脱、トランプ旋風も、サッチャーレーガン以来の英米発祥のネオリベラリズムの歴史から、初めてその意味が見えてくる。本書は「最良のトッド入門」でもある。知識遍歴を存分に語る第3章「トッドの歴史の方法」は、他の著作では決して読めない話が満載。「トッドの予言」はいかにして可能なのか?その謎に迫る!日本オリジナル版。

「今日の世界の危機は”国家の問題”として捉えなければなりません。中東を始めとして、いま真の脅威となっているのは”国家の過剰”ではなく”国家の崩壊”です。喫緊に必要なのは、ネオリベラリズムに対抗し、国家を再評価することです。(本文より)

「イギリスのEU離脱は、”西側システム”という概念の終焉を意味してます。」(本文より)

著者紹介

エマニュエル・トッド

1951年生まれ、フランスの歴史人口学者・家族人類学者。国・地域ごとの家族システムの違いや人口動態に注目する方法論により、「最後の転落」(1976年)で「ソ連の崩壊」を、「帝国以降」(2002年)で「米国発の金融危機」を、「文明の接近」(2007年、共著)で「アラブの春」を次々に”予言”。

 目次 

日本の読者へー新たな歴史的展開をどう見るか?

1 なぜ英国はEU離脱を選んだのか?

2 「グローバリゼーション・ファティーグ」と英国の目覚め

3 トッドの歴史の方法ー「予言」はいかにして可能なのか?

4 人口学から見た2030年の世界ー安定化する米・露と不安定化する欧・中

5 中国の未来を「予言」するー幻想の大国を恐れるな

6 パリ同時多発テロについてー世界の敵はイスラム恐怖症だ

7 宗教的危機とヨーロッパの近代史ー自己解説「シャリルとは誰か?」