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嫌われる勇気

嫌われる勇気自己啓発の源流「アドラー」の教え

          岸見一郎  古賀史健  ダイヤモンド社 
嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

  


本書は、先生役の哲人と疑問や反論を繰り返す青年との対話を通して、思考実験を繰り返しながら、アドラー心理学の本質に迫るます。また、世界の見方、他者との関わり方について、自分が変われば世界も他者も変わる、そして人生も変わる、と説く。

世界はシンプルである。自分の見方次第で幸福にも不幸にもなる。そして、もしあなたがいま不幸なのだとしたら、それは自分が望んでその状態を”選んでいる”のである。
まずはそのことを自覚すること。これをフロイト原因論アドラーの目的論の考え方の違いから説明する。
そして、自分が変わろうと思えば、いつでも変われる。裏を返せば、自分を変えるのは自分しかいない。
では、その勇気はどこから湧いてくるのか。
それは「自己受容」「他者信頼」「他者貢献」によるものだと言う。
あるがままの自分を受け入れ、他者を仲間として信頼し、他者に貢献することで自らの価値を認識できる。
共同体(最小単位はあなたと私)への貢献感、この感覚こそが、一歩を踏み出す勇気となると説明する。
しかし、気をつけなければならないのは、貢献感はあくまで主観的なものであり、他者の承認や評価を基準とするものではないということ。他者の目を気にするようになった途端、それは他人の人生を歩むことになってしまう。
自分は自分、他人は他人。
このあたりの考え方が「課題の分離」というキーワードに込められている。
他人がどう思うか、どう評価するかは、「他人の課題」であり、「自分の課題」ではない。
あなたが取り組むべきは「自分の課題」であり、「他人の課題」は切り捨てる。そして、「自分の課題」に他者を介入させない。その責任を請け負う勇気があれば、対人関係で悩むことなく、自立することができる。

“「あらゆる人から好かれる人生」と「自分のことを嫌っている人がいる人生」どちらを選ぶか。”
“あなたがどんな刹那を送っていようと、たとえあなたを嫌う人がいようと、「他者に貢献するのだ」という導きの星さえ見失わなければ、迷うことはないし、なにをしてもいい。嫌われる人には嫌われ、自由に生きてかまわない。”

内容紹介

本書は、フロイトユングと並び「心理学の三大巨頭」と称される、アルフレッド・アドラーの思想(アドラー心理学)を「青年と鉄人の対話篇」という物語形式を用いてまとめた一冊です。欧米で絶大な支持を誇るアドラー心理学は、「どうすれば人は幸せに生きることができるか」という哲学的な問いに、きわめてシンプルかつ具体的な”答え”を提示します。この世界のひとつの真理とも言うべき、アドラーの思想を知って、あなたのこれからの人生はどう変わるのか?もしくは、なにも変わらないのか・・・。

さあ、青年と共に「扉」の先へと進みましょうー。

アドラー心理学

アドラー心理学とは、アルフレッド・アドラーAlfred Adler)が創始し、後継者たちが発展させてきた心理学の体系である。個人心理学が正式な呼び方であるが、日本ではあまり使われていない

アドラー自身は自分の心理学について、個人心理学と呼んでいた。それは、個人とは分割できない存在である、と彼が考えていたことによる。

アドラーが自分の心理学について個人心理学と呼んだように、アドラー心理学では、個人をそれ以上分割できない存在であると考えることから、人間の生を、個人という全体が個人の必要な機能等を使って目的に向かって行動している、というふうに考えている。そして、人間は相対的にマイナスの状態から、相対的にプラスの状態を目指して行動している、と考えている。

著者紹介

岸見一郎(きしみ・いちろう)

1956年、京都生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学(西洋古代哲学史専攻)。京都教育大学教育学部奈良女子大学文学部非常勤講師(哲学・古代ギリシャ語)、前田医院(精神科)勤務を経て、現在、聖カタリナ高校看護専攻科(心理学)、近大姫路大学看護学部生命倫理)非常勤講師。専門の哲学に並行してアドラー心理学を研究、精力的に執筆・講演活動を行っている。日本アドラー心理学会認定カウンセラー・顧問。著書に『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』(古賀史健と共著、ダイヤモンド社)、『人生を変える勇気』(中央公論新社)『よく生きるために働くということ』(KKベストセラーズ)『三木清「人生論ノート」を読む』(白澤社)『老いた親を愛せますか?』(幻冬舎)、訳書にアドラー『個人心理学講義』『人生の意味の心理学』(アルテ)、プラトンティマイオス/クリティアス』(白澤社)など多数。

古賀 史健(こが・ふみたけ)

株式会社バトンズ代表/ライター。1973年生まれ。一般誌やビジネス誌で活動後、現在は書籍のライティング(聞き書きスタイルの執筆)を専門とし、実用書、ビジネス書、タレント本などで数多くのベストセラーを手掛ける。著書に『嫌われる勇気』(共著/岸見一郎)、『20歳の自分に受けさせたい文章講義』、インタビュー集に『16歳の教科書』シリーズなどがある。

 目次

第一夜 トラウマを否定せよ

第二夜 すべての悩みは対人関係

第三夜 他者の課題を切り捨てる

第四夜 世界の中心はどこにあるのか

第五夜 「いま、ここ」を真剣に生きる