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日本百名山連続踏破、前人未到の旅の記録

 グレートトラバース 

日本百名山ひと筆書き 

  田中陽希(プロアドベンチャーレーサー) NHK出版 

グレートトラバース 日本百名山ひと筆書き

グレートトラバース 日本百名山ひと筆書き

 

 

本書は、2014年、BS NHKで放映された番組が元になってます。深田久弥の「日本百名山」は山登りをするものなら誰でも知っている名著だが、その百名山すべてに登ることは容易ではない。その百名山を4月1日から約半年かけて、自力で、動力を使わず、一気に登るという試みで、南の屋久島から宮之浦岳をスタートして、そこからカヤックで鹿児島に移動、開聞岳、霧島岳と九州を北上、九重山のあとは関門海峡を歩いて渡り中国の大山まで徒歩移動、しまなみ海道を渡って石鎚山と剣山、紀伊水道を再びカヤックで渡り、そこから近畿中部地方へ。南アルプスから北アルプスへ、ここはまだ残雪がある6月で山小屋も開いていないところもある。恵那山から3000m級の山々を南の赤石岳北岳甲斐駒ケ岳と北上、噴火前の御岳を6月11日にクリアして、乗鞍岳穂高岳常念岳槍ヶ岳黒部五郎岳ときて、剱岳立山ときて、今度は五竜岳、白馬岳とここまでで6月28日とアルプスを一ヶ月で踏破した。

ここからは比較的低い山が続く。雨飾山から妙高山草津白根山浅間山、美ヶ原、霧ヶ峰ときて八ヶ岳を一日で縦走する。瑞牆山から金峰山甲武信岳をへて富士山にも登る。ここから神奈川、東京、埼玉、茨城を徒歩で北上、北関東から東北の山々を7月から8月の真夏期間に北上、八甲田山から岩木山に到達したのが9月10日。ここでカヤックに乗り津軽海峡を北上、北海道は羊蹄山から利尻山までの9座を10月26日までかけて登り切った。

放映を見ていると、田中陽希はもちろんだが彼を追っているNHKの撮影班の大変さを思う。撮影班は田中陽希の完全に黒子となる約束で、登山はもちろん移動を手伝わない、荷物運搬を手伝わない、命にかかわる危険以外では絶対に助けないという約束。宿泊や移動、食事も田中陽希は自分持ちである。スポンサーは田中陽希が務める会社が負担するという約束。
とにかく、山登りに関心がなかったという人にもおすすめします。

内容紹介

 国土の約7割を山岳地帯が占める日本。山の数は一万を超えるともいわれるなかで、文筆家であり登山家でもあった深田久弥(1903~71)が日本各地の山を実際に登頂し、山の品格、歴史、個性から選んだ百の山があった。これを「日本百名山」という。

その百の山を南北に屋久島から利尻島まで一本の線で繋ぎあわせ、海はシーカヤック、陸は徒歩だけで移動するという壮大な冒険にプロアドベンチャーの田中陽希が挑んだ。

本書は、日本百名山連続踏破を目指して約7800kmに及んだ、前人未到の記録である。

著者紹介

田中 陽希(たなか・ようき)

Team EASTWIND/プロアドベンチャーレーサー。1983年6月生まれ。6歳のとき家族とともに北海道富良野市に移住。クロスカントリースキーに没頭する。明治大学進学後もスキー部で活動。インターカレッジで7位入賞。大学卒業後、体育教員を目指す傍らアドベンチャーレースと出会い、冒険の世界に飛び込む。2009年世界スキーオリエンテーリング選手権大会日本代表。国内唯一のプロアドベンチャーレースチームであるTeam EASTWINDの主力メンバーとして活動中。

目次

プロローグ 

    アドベンチャーレースとの出会い / きっかけの旅/スタートまでの道のり

第一章 気の向くままに風の吹くままに [九州篇]

    始まりの一歩 / 大隅海峡横断 / きっかけの地へ

第二章 一座のために一つの目的のために、走れ!歩み続けろ! [中国・四国篇]

    先の見えぬ舗装路との戦い / 思い出の山が待つ四国 

    紀伊水道から和歌山へ

第三章 緊張が高まる毎日  [近畿・東海篇]

    本州ステージのスタート / 体調の変化と痛みの再発 / 恐怖の白山

第四章 不安と緊張、そして感動と涙   [日本アルプス篇]

    食料難の南アルプス / 連日2000mアップの中央アルプス

    北アルプス最大の決断 / 日本アルプス最後の山場

第五章 反響の変化 [関東・甲信越篇]

    折り返しの50座へ / 日々高まる反響 / 帰ってきた群馬県 

    病み上がりの心身

第六章 旅という名の挑戦  みんなの思いを背負って [東北篇]

    残暑厳しい東北 / 秋の訪れは突然に / 突然のお知らせ / 決意を新たに

第七章 ラストスパート1700キロ  [北海道篇]

    でっかいど~、ほっかいど~ / ふるさとへ / 最後の1座への旅

エピローグ

    こんな思い出もあったな~ / 利尻山から下山して