読書日記

お薦めの本を紹介します

愛するということ

   愛するということ

エーリッヒ・フロム [ 訳 ] 鈴木畠 紀伊国屋書店

 

愛するということ 新訳版

愛するということ 新訳版

 

 

本書は、1956年に出版されて以来、ずっと読み継がれいる世界的ベストセラーであるエーリッヒ・フロムの名著です。安易な恋愛本ではなく、愛の本質について学べる名著です。

愛とは、人間の精神活動の中で最も困難かつ重要なものであり、人生を実り豊かにするために、人生の輪が完結するまでの生涯を通じて探求を続ける「我々自身の実存の問いに対する答え」です。 

我々は何も無いところから生まれ、必ず、何も無いところへ帰って行きます。 主観だけで人生を見ると、生きられる時間は有限で、その前後には無限の「無」が広がっています。存在が無くなった後、自分とその知性が存在していたということは社会の中で「記録」されますが、それだけです。いずれ、それも無くなってしまいます。 いずれ必ず無に帰るのならば実存とは何なのか、それが問いです。

他者(人間)が、見える聞こえる触れることのできる「物体」として認識することは誰でもできますが、その中にある精神そのものは直接見ることも触ることもできません。 自分の精神と同じような広がりをもって、誰かの中に世界が広がっていることを知る。 それが愛なのだと理解しています。 永い時間をかけて精神の力で、”他者”が確かに存在しているということを確信することにより、自らが存在するということも確信することができるのです。 愛は愛としか交換できないと書いてあるように、他者の精神そのものと繋がるために必要なのは、本書に書いてある4つの要素と、自らの精神です。 お金や力で相手を従わせても、決してそれは成立しません。 

また実存証明とは、1人で行うには非常に困難なことです。 もし私が外界の一切と遮断され、未来永劫絶対に何ともアクセスできなくなれば、それは存在しているとは言えないでしょう。 過去、多くの賢者が自らの主観のみで実存の問題への回答を試みて来ました。「我思う、ゆえに我あり」とは、全てを疑い続けても、「疑っている自己の存在」だけは絶対に否定することはできない、だから我々は存在しているということです。 しかし我々は、本当に理性があるから存在するのでしょうか。 ”自らの実存証明だけ”ができたとしても、死の床に伏すときに残る思いは「これから世界が消える」ということだけです。

最後に、我々にとって、神とは愛です。人間は、等しく愛されています。しかしそれは出発点であり、我々も誰かを愛するということについて努力を怠ってはなりません。 誰かを愛することによって、自らが豊かになります。 それこそが、死も含めた自らの人生における、幸福であると思っています。 

内容紹介

愛は技術であり、学ぶことができるー

私たち現代人は、愛に渇えつつも、現実にはエネルギーの大半を、

成功、威信、金、権力といった目標のために費やし、

愛する技術を学ぼうとしない。

愛とは、孤独な人間が孤独を癒そうとする営みであり、

愛こそが現実の社会生活の中で、より幸福に生きるための最高の技術である。

フロムの代表作として、世界的ベストセラーの一つである。

◆各界の方々からのメッセージ

「愛」を、学術的に学ぶ本。
解剖・分解され、構築される愛のメソッド。
本能として持ち合わせた愛を、いったいどれだけ言葉で表せるのだろう。
愛されるのではなく、愛する技術とは? 生きるためのヒントがつまっている。

岩井志麻子
とても簡単なことが、大いに楽しめ学べる複雑なドラマとして描かれています。
とても難しいことが、誰にでもわかるやさしい言葉で表されています。

岡崎武志
現代は「愛」が消費材のように叩き売られる時代。
半世紀も前にフロムは、「愛」は「幸福に生きるための最高の技術」と断言。
その修練のために「信じる」ことの必要性を説いた。かくも「愛」は困難だ。

姜尚中
愛に飢えながら、愛を語りえないわたしたちの不幸。それは、愛が歪んだナルシシズムと利己心の別名になっているからだ。
愛するということは、自己への信頼と他人の可能性への信頼にもとづく最も人間らしい技術にほかならないことを知ったとき、
愛は輝きを増し、そしてわたしの希望となった。本書によってわたしは救われたのだ。

菊地成孔
「愛ってこんなに面倒くさいものなの?」と思うでしょうけれども、こんなに面倒くさいんです。
あらゆる愛の実践が、歌の歌詞だけになってしまった現代に残された、今となっては喰えないぐらいにキツイ本です。
「ずっとそばにいるよ」とか「声聞けないと死にそうだよ」とかいった言葉に本気でグッと来るような人は、読まない方が良いかもしれません。

小谷野敦
間違えてはいけない。これは「愛されるということ」ではない。
この本をいくらよく読んで何かを実行しても、好きな相手から好かれるようにはならない。
そういう勘違いさえしなければ、読んでもよい。

辛酸なめ子
愛に迷った時、求めても得られなくて絶望にかられた時、
この本の愛についての理性みなぎる文章に触れるとたちまち精神が鎮静化します。

鈴木謙介
本書の冒頭でフロム自身が言うように、
私たちは「愛される技術」についてはいつも考えているけれど、「愛すること」は難しいことではないと思っている。
だが実際には、相手をひとつの人格として尊重し、愛するのは、とても難しい。愛されたいと思う人こそ読むべき一冊。

谷川俊太郎
『愛するということ』を、若いころは観念的にしか読んでいなかった。
再読してフロムの言葉が大変具体的に胸に響いてくるのに驚いた。
読む者の人生経験が深まるにつれて、この本は真価を発揮すると思う。

土井英司
人を動かす秘訣を学びたいなら、100冊のマネジメント本を読むより、このフロムの名著を読むといい。
たった一つの原則――愛とは対象の問題ではなく、愛する能力の問題である――を知るだけで、うまくいくはずだ。

夏木マリ
いくつになっても愛についてのメカニズムに答えはないと思っていた。
著者は「愛は技術だ」と言い切る。人を愛する技術。そういえば、こんな私も…、人を愛して隣人に優しくなれたような気もしている。
そんな時、自己成長を体感しているような気もしている。
「人を愛することは自分を知ること」 この本が明解に導いてくれた。

新浪剛史
本当の愛とは何かを考えれば、
人生も、真に企業が歩むべき道も見えてくるのだと思います。

西村佳哲
人が人生を通じて触れつづけていたいものは愛、と語る言葉に時々出会う。
そうかもしれないと思うし、あまりに大事な話で、言葉にしたくないとも思う。
この本はそれを言葉にしているわけですが、生涯を通じて何度も読み返したい。そんな一冊です。

日野原重明
私は本書を読み、「技術を習得する過程として、1.理論に精通すること、2.習練に励むこと、3.その技術を習得することが究極の関心事にならなければならない」という言葉に接し、これが医学にも音楽にも通じることに気づき、強い感動を覚え、臨床医や看護・介護職の方々にこの本を読むことを勧めている。

松浦弥太郎
愛とは、自然と涙が流れること。愛するとは、すべてを信じることから学ぶ、工夫と発案に満ちた無償の生き方である。
本書は現代人が欲望と引き換えに失った、人間らしさに立ち返るヒントに満ちた一冊といえよう。

宮台真司
愛とは、
愛される〈体験〉ではなく、
恋に落ちる〈体験〉でさえもなく、
喜びを与える〈行為〉たるがゆえに、
磨かれるべき「技術」を要するという本書は、
何度読んでも、そう、そうだったはずだとの気付きをもたらす。

森まゆみ
初読の学生時代、私はカップルの片われで、「愛されること」ばかり考えていた。
結婚、出産、育児、離婚、市民運動更年期障害、老いの自覚を経て再読し、この本が何百倍も広く深い、生きる意味を照らす鏡であると思えてきた。

山田太一
出回っている陳腐な愛で諦めている人に、修練を積めば、もっとましな愛、ましな人生、ましな世界を手にすることが出来るのではないか、といっている本です。

 著者紹介

エーリッヒ・フロム

1900年、ドイツのフランクフルトに生まれる。ハイデルベルク、フランクフルト、ミュンヘンなどの大学で学んだのち、ベルリン大学精神分析学を学ぶ。フランクフルト社会研究所を経て、1933年アメリカに渡り、のちに帰化。イェール、ミシガン、ニューヨークなどの大学で教鞭をとり、さらにメキシコに移住。1980年没。
フロイト理論にマルクスヴェーバーを接合して精神分析に社会的視点をもたらし、いわゆる「新フロイト派」の代表的存在とされた。また、真に人間的な生活とは何か、それを可能にする社会的条件とは何かを終生にわたって追求したヒューマニストとしても有名である。しだいに、禅や東洋宗教への関心を深めた。
著書:『自由からの逃走』、『人間における自由』、『精神分析と宗教』(以上、東京創元社)、『正気の社会』、(社会思想社)、『愛するということ』、『悪について』、『希望の革命』、『生きるということ』(以上、紀伊國屋書店)、他多数。

目次

第一章 愛は技術か

第ニ章 愛の理論

第三章 愛と現代西洋社会におけるその崩壊

第四章 愛の習練

参考図書 

フロム『愛するということ』 2014年2月 (100分 de 名著)

フロム『愛するということ』 2014年2月 (100分 de 名著)