読書日記

お薦めの本を紹介します

103歳になってわかったこと

 103歳になってわかったこと 

        人生は一人でも面白い

   篠田桃紅    幻冬舎文庫 
一〇三歳になってわかったこと 人生は一人でも面白い

一〇三歳になってわかったこと 人生は一人でも面白い

 

 

 和紙に、墨・金箔・銀箔・金泥・銀泥・朱泥といった日本画の画材を用い、限られた色彩で多様な表情を生み出す彼女の作品はとても魅力的です。また、彼女の随筆も趣があります。

 美術家篠田桃紅さんは、幼いころから父に書の手ほどきを受けるが、その後、女学校時代以外はほとんど独学で書を学びます。昭和31年に43歳の時に渡米して、抽象表現主義絵画が全盛期のニューヨークで、作品を制作。水墨の抽象画で数回の個展を開き高い評価を得るが、乾いた気候が水墨に向かないと悟り、帰国。以後日本で制作し、各国で作品を発表しています。

最初の節の「私には死生観がありません」の中で 死生観は歳とともに変わるのかと、若い友人に尋ねられて、私は、私には死生観がないと答えた下りがあります。人が生まれて死ぬことは、いくら人が考えても分かることではない。人の領域ではないことに、思いをめぐらせても真理に近づくことはできない。それなら一切を考えず、毎日を自然体で生きるように心がけるだけ。誠に見習いたい人生訓です。

「戦前、書道展に出品すると、才気煥発だけど根っこがない、と批評された。書の常識を踏まえていないからこその酷評ですが、私の根っこは私の中にあると信じていました 」と言うのも誠に桃紅さんらしいです。

読んでいて氣になったことが一つ。各文のあとに内容をまとめた箇条書きがありますが、著者本人書いたのだろうか。もし編集者が附け加えたのであれば、本文の趣を薄めてしまいます。著者が絵や書の作品に関して書いているように、余計な解説は、文章でも鑑賞の幅を狭めてしまいます。それは兎も角、100歳を超えてますます、見る目の高さが上がり、達観して物が見えるようになった桃紅さんの文章が読めて清々しい気持ちになりました。

内容紹介 

「いつ死んでもいい」なんて噓。生きているかぎり、人間は未完成。大英博物館メトロポリタン美術館に作品が収蔵され、一〇〇歳を超えた今なお第一線で活躍を続ける現代美術家・篠田桃紅。「百歳はこの世の治外法権」「どうしたら死は怖くなくなるのか」など、人生を独特の視点で解く。生きるのが楽になるヒントが詰まったエッセイ。

著者紹介

篠田桃紅(しのだ・とうこう)

1913(大正2)年、中国・大連に生まれる。東京都在住。墨を用いた抽象表現者として、世界的に知られている。5歳の時、父の手ほどきで初めて墨と筆に触れ、以後独学で書を極める。第二次世界大戦後、文字を解体し、墨で抽象を描き始める。1956年渡米し、ニューヨークを拠点にボストン、シカゴ、パリ、シンシナティ他で個展を開催。58年に帰国して後は、壁画や壁書、レリーフといった建築に関わる仕事や、東京・芝にある増上寺大本堂の襖絵などの大作の一方で、リトグラフや装丁、題字、随筆を手掛けるなど、活動は多岐にわたった。1950年代の激しい筆致はやがて叙情性をたたえ、80年代から90年代にかけては、線はより洗練された間を構成していった。
近年、面と線は寄り添い、朱はあくまで高貴に、墨は静かに鋭く、あるいは控えめに層をなしている。
2005年、ニューズウィーク(日本版)の「世界が尊敬する日本人100人」に選ばれた。

著書

  • 『新しい書道十二ケ月 抒情詩の解説を添えて』同学社 1954
  • 『いろは四十八文字』矢来書院、1976年11月
  • 『墨いろ』PHP研究所、1978年 のち文庫 
  • 『朱泥抄』PHP研究所、1979年11月
  • 『その日の墨』冬樹社、1983年 のち新潮文庫河出文庫 
  • 『おもいのほかの』冬樹社、1985年12月
  • 『一字ひとこと』講談社 1986 『墨を読む 一字ひとこと』小学館文庫、1998年
  • 『きのうのゆくへ』講談社、1990年
  • 『桃紅 私というひとり』世界文化社、2000年12月
  • 『桃紅えほん』世界文化社、2002年4月
  • 『桃紅百年』世界文化社、2013年4月
  • 『百歳の力』集英社新書、2014年6月
  • 『一〇三歳になってわかったこと 人生は一人でも面白い』幻冬舎、2015年4月
  • 『一〇三歳、ひとりで生きる作法 老いたら老いたで、まんざらでもない』幻冬舎、2015年12月
  • 『人生は一本の線』幻冬舎 2016
  • 『一〇五歳、死ねないのも困るのよ』幻冬舎 2017
  • 『桃紅一〇五歳 好きなものと生きる』世界文化社 2017
編纂
  • 『日本の名随筆 27 墨』 作品社 1985

主な作品展示先

目次

第1章  一〇三歳になってわかったこと

私には死生観がありません、百歳はこの世の治外法権 ほか
第2章  何歳からでも始められる

なんでも言っておく、伝えておく、頼らずに、自分の目で見る ほか
第3章  自分の心のままに生きる

自由を求めて、今の私がいる、自分が一切である ほか
第4章  昔も今も生かされている

よき友は、自分のなかで生きている、物は思い出の水先人 ほか

 

参考図書

桃紅一〇五歳 好きなものと生きる

桃紅一〇五歳 好きなものと生きる

 

 

人生は一本の線

人生は一本の線

 

 

 

 関連サイト

篠田桃紅プロフィール・略歴 | 岐阜現代美術館


http://www.gi-co-ma.or.jp/collection/biography/ 
1913年、中国・大連に生まれる。5歳の時、父の手ほどきで初めて墨と筆に触れ、以後独学で書を極める。第二次世界大戦後、文字を解体し、墨で抽象を描き始める。1956年渡米し、ニューヨークを拠点にボストン、シカゴ、パリ、シンシナティ他で個展を開催。58 ...