あの戦争と日本人
半藤一利 文春文庫
「語りおろし」という口述筆記の手法で作られた本書は、たいへん分かりやすくなってます。「あの戦争」とは「太平洋戦争」のことです。太平洋戦争史なのに、最初に幕末史、日露戦争が出てきます。というのは、太平洋戦争中の「日本人」の精神的特質の起源は、日露戦争に勝利したところにあるという著者の持論によります。
内容紹介
歴史とは、前の事実を踏まえて後の事実が生まれてくる一筋の流れである―明治維新、日露戦争、統帥権、戦艦大和、特攻隊。悲劇への道程に見える一つ一つの事実は、いつ芽吹き、誰の思いで動き出したのか。名著『昭和史』に続き、わかりやすく語り下ろした戦争史決定版。日本人の心に今もひそむ「熱狂」への深い危惧が胸に迫る。
著者紹介
1930(昭和5)年、東京生れ。東京大学卒業後、文藝春秋に入社。「週刊文春」「文藝春秋」編集長、専務取締役などを経て、作家となる。1993(平成5)年、『漱石先生ぞな、もし』で新田次郎文学賞、1998年、『ノモンハンの夏』で山本七平賞を受賞する。2006年、『昭和史 1926-1945』『昭和史 戦後篇 1945-1989』で、毎日出版文化賞特別賞を受賞。『決定版 日本のいちばん長い日』『聖断―昭和天皇と鈴木貫太郎―』『山本五十六』『ソ連が満洲に侵攻した夏』『清張さんと司馬さん』『隅田川の向う側』『あの戦争と日本人』『日露戦争史1』など多数の著書がある。
目次
第一章 幕末史と日本人
第ニ章 日露戦争と日本人
第三章 日露戦争後と日本人
第四章 統帥権と日本人
第五章 八紘一宇と日本人
第六章 鬼畜米英と日本人
第七章 戦艦大和と日本人
第八章 特攻隊と日本人
第九章 原子爆弾と日本人
第十章 八月十五日と日本人
第十一章 昭和天皇と日本人
新聞と日本人ー長い「あとがき」としてー