戦争と諜報外交 杉原千畝たちの時代
白石仁章 角川選書
本書は、いわゆる「太平洋戦争」とよばれる「悲惨な戦争」を阻止しようと活動した4人の外交官のはなしです。彼らは、与えられた裁量の中で精いっぱい日本をまともな方向に導こうとしました、その熱い思いが伝わってきます。
内容
太平洋戦争開始直前、頭脳で世界と渡り合い、日本を正しい方向へと導こうとした男たちがいた。命のビザだけではなく、日本を救い得る重要情報を命懸けで入手した杉原千畝。日米関係の悪化を防ぐラジオ放送を行った斎藤博。ムッソリーニと渡り合い、幻の東京五輪招致に奔走した杉村陽太郎。駐ドイツ大使でありながら、日独伊三国同盟に反対し続けた来栖三郎。外務省に眠る約4万冊のファイルから、先人の足跡を辿る。
著者紹介
白石仁章(しらいし まさあき)
1963(昭和38)年、東京都生れ。上智大学大学院史学専攻博士課程修了。在学中の1989(平成元)年より外務省外交史料館に勤務し、現在に至る。その傍ら、東京国際大学および慶応義塾大学大学院で教鞭を執った。専門は日本外交史とインテリジェンス・システム論。特に杉原千畝研究は25年にわたって追い続けてきたテーマである。ほかの著書に『プチャーチン――日本人が一番好きなロシア人』『六千人の命を救え! 外交官・杉原千畝』がある。
目次
まえがき
第1章 日米の架け橋を夢見た大使斎藤博(口八丁手八丁な若きアメリカ大使
アメリカを知り尽くした男 ほか)
第2章 巨星杉村陽太郎(外務省の名物男
連盟事務次長就任まで ほか)
第3章 悲劇の外交官来栖三郎(来栖三郎の汚名
世界を股にかけた外交官 ほか)
第4章 インテリジェンスの鬼才杉原千畝(ヒューマニストは過小評価?
再検討すべき杉原千畝の功績ほか)
あとがき
主要参考文献
年表