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子供の十字軍

   子供の十字軍

ベルトルト・ブレヒト 長谷川四郎[訳]   高頭祥八[絵] パロル舎

 

子供の十字軍

子供の十字軍

 

 

内容紹介

なんという時代―いまも。砲声と瓦礫のなかに奇妙なうわさがひろがった。子供の十字軍。純朴に健気に、矛盾も現実も、未来の平和を希求し放浪する子供たちの語りうた。

 

ポーランドに、一九三九年
むごたらしい戦争があり
多くの町、多くの村を
焼野原にした。

妹は兄を軍にうばわれ
妻は夫をうしなった
火と瓦礫のあいだ
子供はもう両親を
見ることなかった。

連絡絶えたポーランド
手紙はこない、報せもない
けれど東の国々に
ひろまる奇妙な一つの話。

雪のふる東の町で
ひとはうわさした
子供の十字軍が
ポーランドに始まったと

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著者紹介

ブレヒト・ベルトルト
1898―1956。ドイツの劇作家・詩人、アウグスブルグに生まれる。ミュンヘン大学で医学を学び第一次世界大戦に衛生兵として召集される。戦間期表現主義運動の影響のもと、詩作・劇作・批評活動をはじめる。戯曲『夜うつ太鼓』でクライスト賞を受賞。1928年ベルリンで『三文オペラ』上演。ナチスの勢力増大につれ作品が次々と上演禁止になる。1933年国会議事堂放火事件のち、亡命生活に入る。プラハ、ウィーン、チューリッヒ、パリを経てデンマークに住む。第二次世界大戦フィンランドソビエトを通ってアメリカへ亡命、1947年まで滞在。チューリッヒを経て1948年東ドイツのベルリンへ帰る。1949年劇作「ベルリーナ・アンサンブル」を結成。作品に戯曲『三文オペラ』『肝っ玉おっかあとその子供たち』『セチュアンの善人』『コーカサスの白墨の輪』など。

長谷川/四郎
1909-1987。北海道生まれ。作家・詩人。法政大学卒業後、満州鉄道入社。シベリアでソ連軍の捕虜として抑留され強制労働につく。主な著作に『シベリヤ物語』『模範兵隊小説集』『鶴』など多数 。

高頭/祥八
1931-2003。群馬県生まれ。画家・彫刻家。舞台芸術学院卒業。サロン・ドートンヌ展、ル・サロン展、ボザール国際展、パレスチナ国際展、ベイルート日本美術展、タイ独立美術家展、第三世界とわれわれ展、現代東北美術の状況展、冤罪と人権展、从展、等に出品。1977年長谷川四郎氏と二人展を開き、氏の詩によるレコード『ギターをとって絃をはれ』を劇団音楽座の協力で制作。絵本に『ちいさなりょうしタギカーク』など多数。