ナチスに挑戦した少年たち
フィリップ・フーズ [訳]金原端人 小学館
第二次大戦中のデンマークで、レジスタンス運動のきっかけを作った少年達の実話です。
ナチスドイツの支配を受け入れて上辺だけの安息を選んだ国と大人たちに対して、いらだった少年達がドイツ軍に対する彼らなりの攻撃を仕掛ける。たわい無いイタズラレベルから始まって次第に武器の調達や放火の実行にエスカレートして行くが、追及の手も迫って遂に・・・という展開が豊富な資料も交えて語られます。
血気盛んな少年達の無鉄砲としか思えない行動や、つかまってからの苦難、戦後の様子まで、生き残りメンバーに直接取材した労作です。また、戦後の少年達にの心に傷を残していたり苦しむ様子も書かれていて、やはり平和こそ大切だと実感させられます。
戦争とはどんなこと?勇気があるってどういう事?
子供達にも読んで考えて貰いたい作品です。
内容紹介
大戦下のデンマークで本当にあった物語
第二次世界大戦、ナチス占領下のデンマークで、レジスタンス活動をした少年たち。彼らは、自分たちのグループをチャーチルクラブと呼んだ。ドイツと徹底的に戦うと宣言したイギリスの首相、ウィンストン・チャーチルを心から尊敬していたのだ。
少年たちの活動は、自転車で走り回り、標識を壊しドイツ兵を迷子にする、敵の車を破壊する、銃を盗むといった、小さな抵抗の積み重ねだった。チャーチルクラブの妨害活動に、ドイツの占領軍は、最初は戸惑っていたが、そのうちに怒り出し、逮捕命令を出した。捜査が開始されて、この運動は、広く知られるようになり、多くのデンマーク人を勇気づけたのだ。
これは、武器を何一つ持たない少年たちが、ヒトラー率いるナチス軍に抵抗した本当にあった話である。
ナチスのレジスタンス運動についての物語や、ヒットラーの物語は、数多くあるけれども、今回のような少年たちのレジスタンス運動のノンフィクションは、初めてだと思う。これは、英雄物語ではない。いろんなことを考えさせられる物語だ。
数多くの写真も掲載されていて、臨場感あるノンフィクションになっている。
著者紹介
フィリップ・フーズ
全米図書賞受賞作家。アメリカの児童文学賞コルデコット賞を2度受賞、ニューベリーオナー賞受賞他、数々の賞を受賞している。世界的な自然保護団体ザ・ネイチャー・コンサーバティのメンバー。
目次
まえがき
1 Oprop!
2 RAFクラブ
3 チャーチルクラブ
4 息することを覚える
5 抵抗の火の手
6 武器をとれ
7 ホイップクリームと鉄鋼の街
8 ある晩、ひとりで
9 ニーベ攻略作戦
10 砲弾
11 引き返さない
12 ハンス王通り拘置所
13 壁と窓
14 ふたたび自由の身に?
15 ニュボー国立刑務所
16 釈放直後
17 本物のレジスタンス
18 チャーチル氏との夕べ
その後の人生
覚え書き
注釈
謝辞
訳者あとがき
参考文献一覧