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お薦めの本を紹介します

チチローの「イチロー」の育て方

いちばん好きなこと一直線

   子育ては、父親最大の仕事

    鈴木 宣之  麗澤大学出版会

いちばん好きなこと一直線―子育ては、父親最大の仕事

いちばん好きなこと一直線―子育ては、父親最大の仕事

 

 

 イチローのお父さんは、イチローが子どもの頃毎日イチローの練習につき合ったそうです。
学校が終わる3時半くらいからずっとです。
どうしてこんなことができたんでしょうか。
普通のお父さんは、会社に行ったり仕事をしているはずの時間です。
チチローは、いったい仕事はどうしていたんでしょうか。
イチローのお父さんは、実は小さいながらも工場の社長さんだったんです。
でも社長さんだからって、遊んでばかりいては会社は傾いてしまいます。
従業員だって、遊んでばっかりの社長にはついてきてくれないでしょう。
もちろん、奥さんだって。
イチローだって、いくら自分の練習につき合ってくれるといっても、ろくに仕事もしない父親を尊敬できるわけがありません。

本書には、こう書いてあります。

仕事は、ただ動けばいいというものではない。
ましてや、人にやってもらうには、いかに効率よく動いてもらうか工夫する必要がある。
まず、何事につけ、動いてもらう人をイライラさせてはいけない。
第二に、仕事は何の心配もなく、自然に流れなければならない。
一工程でもやりにくいところがあったりすると、それで業務が大幅に遅れることがあるから、極力、私が点検してスムーズな流れをつくる。
これがうまく行かないと、結果的に私を含めて、働いている人のイライラが高じることになる。
要するに、従業員が無理なく動き、仕事ができる環境と行程をつくることが、私の第一の仕事だった。(99-100p)


なるほど、です。
社長がいなくても仕事が進む「仕組み」を作るのが上手だったんですね。
だから社長が早く会社を離れても、問題なく会社は回転していったわけです。
いい仕組みを社長自らが作ってくれたから、社長が不在だって従業員も安心してまじめに働いてくれたわけです。
それによって会社が利益を上げ、給料もきちんと払う。
もちろん社長の収入も確保できる。
そういった基盤があったから、イチローも父親を尊敬でき、練習につき合ってくれることを喜んだんだと思います。

チチローはこう言います。

男の人生は仕事だという。
そして、半分は子育てが仕事である。
外で稼いでくる仕事は、男の仕事の半分に過ぎない。(137p)

う〜ん、カッコイイですねー!
父親はもちろん家族を経済的に支えるために仕事をしっかりとやらなくちゃいけません。
でもそれだけじゃ、父親として半分しか仕事をしていないんですね。
時々「俺が稼いでいるんだから文句言うな」なんて威張っているお父さんがいますが、それじゃだめなんですよ。
残りの半分、子育てにもしっかり関わっていかなくちゃ。
両方やってこそ、奥さんにも子どもにも尊敬される本物の父親になれるんだなーって思いました。

 内容紹介

チチローが初めて書き下ろした「男の子育て」の教科書。人生でいちばん大切なことをどう子どもに伝えるか? 家族との絆や幸運な出会いを改めて確かめる父親から息子への心からの手紙。父親そしてこれから父親になる人へ。

今や日本のみかアメリカでもヒーローとなった「大リーガー・イチロー」。天才イチローと言われるが、本人の才能と努力もさること、そこには意思堅固なアスリートを育てるための独自の教育があった。

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 険しい道のりだったが、あの小さなグランドから、セーフコフィールドへ、イチローの夢は一直線に繋がっていたのだ。初めて私はそう気づいた。そして、改めてイチローを眩しく見つめた。

 もういいだろう。イチローよ、自分の世界を大事にして生きて行きなさい。私は、「私のイチロー」に訣別の挨拶をを送った。・・・・・・(本文より)

著者紹介

鈴木 宣之(すずき・のぶゆき)

(有)オフィス・イチロー代表取締役、(有)ビー・ティー・アール代表取締役。1942年、愛知県、名古屋市に生まれる。東海中学校、東海高等学校を経て、芝浦工業大学を卒業。1970年、機械部品製造業を起し、現在に至る。

著書

目次

はじめに

序  イチロー「大リーグへの道」―私を泣かせたセーフコフィールド

メジャーリーグが待っていた

年々膨らんだ大リーグへの夢

ほか
第1章 わたしの父と母―その苦難な時代

苦労の連続だった私の父母の時代

子ども心に胸踊らせた憧れの「15番」

ほか
第2章 両親から私へ、そしてイチローたちに

母の命日に達成したイチローの200安打

「人は自分ひとりで生きているのではない」

ほか
第3章 イチローの夢は私の夢

イチローはそんなに野球が好きなのか」

イチローの野球の原点となった伊勢山グランド

ほか
第4章 イチローのバッテングフォームはこうして生まれた

バッティングフォームはゴルフのスイングから生まれた

悔しさを次につなげよう

ほか
第5章 イチローは自分を信じてプロを目指した

イチローがはじめて知った野球の大変さ

オリックス入団とイチロー

ほか
第6章 イチローに伝えたかったこと

「楽しみ」を見出す能力

好きなことに向かって生き抜く

ほか

 

あとがき

 

参考図書 

父と息子―イチローと私の二十一年

父と息子―イチローと私の二十一年

 

 

大リーガー イチローの少年時代

大リーガー イチローの少年時代

 

 

イチローとわが家 ほんとうの話

イチローとわが家 ほんとうの話

 

 

 関連サイト 

鈴木宣之さん (イチローの父) : 教育を語る : 子ども応援便り


http://kodomo-ouen.com/interview/01.html 
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https://www.sanspo.com/baseball/news/20190323/mlb19032312520022-n1.html 
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