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お薦めの本を紹介します

日本について野生の思想家同士が語り合う

   日本の文脈

内田 樹 中沢 新一 角川書店

日本の文脈

日本の文脈

 

 

 内容紹介

政治、経済、教育、農業、高齢化社会など、さまざまなテーマについて、該博な知識と独自の贈与論をベースに縦横無尽に語り合う。
東日本大震災原発事故の後で、われわれはどのように生きていくべきか? グローバリズムを生き延びるための「日本の文脈」とは?
いま、もっとも注目される二人の論客による、知的興奮とスリリングな展開に満ちた対談集、21世紀を生き抜く実践の書!

 同じ1950年生まれの「野生の思想家」同士の過去2年半における対談を中心に収録。農業、教育、宗教、思想、戦争、東日本大震災などについて、博覧強記さを隠さず論ずるが、3・11を分水嶺にするがごとく、論調が変化する。むしろ3・11によって、両者の持論が補強されているかのようだ。

それは、原発事故を伴った大震災によって、「辺境日本的な価値観や生き方」が、よりリアリティを持って立ち現れたからなのだろう。たとえば「贈与」の原理に基づく人間関係を生み出したい、あるいは地域の活力を高めて幸福感のある経済のあり方にするという考え方は、持論とみられる「重農主義」や「廃県置藩」を促進させる。

今「自分の知らないルールでゲームは進行している。とりあえず必死になってプレイしながら、ゲームのルールを発見してゆくしかない」と教える。知的刺激に満ちた「日本人論」であることは間違いない。

著者紹介

内田 樹(うちだ・たつる)

思想家。武道家合気道七段)。凱風館館長。神戸女学院大学名誉教授。1950年生まれ。『私家版・ユダヤ文化論』で第6回小林秀雄賞、『日本辺境論』で新書大賞2010、著作活動全般に対し第3回伊丹十三賞を受賞。
その他の著書に『寝ながら学べる構造主義』『「おじさん」的思考』『下流志向』『街場のメディア論』『呪いの時代』など多数。

中沢 新一(なかざわ・しんいち)

思想家。人類学者。明治大学野生の科学研究所所長。明治大学特任教授。1950年生まれ。『チベットモーツァルト』でサントリー学芸賞、『森のバロック読売文学賞、『対称性人類学ーカイエ・ソヴァージュV』で第3回小林秀雄賞、『アースダイバー』で第9回桑原武夫学芸賞を受賞。
その他の著書に『精霊の王』『緑の資本論』『日本の大転換』など多数。

 

目次

まえがき 中沢新一

プロローグ これからは農業の時代だ!

第1章 これからの日本にほんとうに必要なもの

第2章 教育も農業も贈与である

第3章 日本人にあってユダヤ人にないもの

第4章 戦争するか結婚するか

第5章 贈与する人が未来をつくる

第6章 東洋の学びは正解よりも成熟をめざす

第7章 世界は神話的に構成されている

    ―東日本大震災福島原発事故のあとで

コラム 荒ぶる神の鎮め方 内田 樹

あとがき  内田 樹

参考図書

日本の大転換 (集英社新書)

日本の大転換 (集英社新書)

 

 

精霊の王 (講談社学術文庫)

精霊の王 (講談社学術文庫)

 

 

日本人にとって聖地とは何か

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「農業を株式会社化する」という無理 これからの農業論

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 関連サイト

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