ホモ・デウス
上下合本版
ユヴァ・ノア・ハラリ
[訳]柴田 裕之 河出書房新社
本書は、読者をあらゆる既存の学問や規範から解き放ってくれます。それを可能にしたのは、進化という見地から歴史を考えるという新しい視点と、それを実現するための広く客観的な知識を大量に自家薬籠中の物にした著者の努力です。
本書のメッセージの要約は、最終章第11章の最後に著者自ら提示しています。
すなわち、デカルトさながら、生命体は単なるアルゴリズムであることを証明し、知性、すなわち情報が意識より優位にあると主張し、意識はないのに大量の情報を処理できる高度なアルゴリズム(IOTとAI)が、人類自身より人類の情報を得ることになるとしています。
結論は、情報処理能力に勝るIOTが人類より影響力を持つ、ということですが、本書の結びは、読者はそれを信じるか?本書の主張をよく考えてくれ、というものです。著者自身、著者の主張を恐ろしく感じ、否定したいのでしょう。
また、IOT、AIが発達した現代をどう解釈するか、民主主義やリベラリズムや共産主義などの政治哲学をどう解釈するか、これから人類と人類社会はどうなっていきそうか、それらを考える指針をくれます。これは実に有意義な情報です。
前著同様、著者の博学さには舌を巻きます。信じられないほどの大量の科学と歴史と時事の雑誌、書籍を読みこなし、これまでの学者と全く異なる、しかし説得力ある主張を平易な言葉で積み重ねています。
内容紹介
我々は不死と幸福、神性をめざし、ホモ・デウス(神のヒト)へと自らをアップグレードする。そのとき、格差は想像を絶するものとなる。
「私」は虚構なのか?生物はただのアルゴリズムであり、生物工学と情報工学の発達によって、資本主義や民主主義、自由主義は崩壊する。
『サピエンス全史』の著者が描く衝撃の未来!
35カ国以上で400万部突破の世界的ベストセラー!
世界800万部突破の『サピエンス全史』著者が戦慄の未来を予言する! 『サピエンス全史』は私たちがどこからやってきたのかを示した。『ホモ・デウス』は私たちがどこへ向かうのかを示す。
私たちはどこへ向かおうとしているのか。人工知能や遺伝子工学といったテクノロジーとホモ・サピエンスの能力が合体したとき、人類は何を求め、何のために生きるのか、そして世界に何が起きるのかを問う!
人類はどこへ向かうのか?
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「優れた作品である『サピエンス全史』よりも面白く読める、より重要な作品である。」
──カズオ・イシグロ(ノーベル文学賞受賞者)
「人類にとって何が待ち受けているのか、思慮深い考察を著している。」
──ビル・ゲイツ(マイクロソフト創業者)
「あなたに衝撃を与え、楽しませ、そしてなによりも
以前は考えたこともないような方法であなたを考えさせる。」
──ダニエル・カーネマン(ノーベル経済学賞受賞者)
「科学技術の終焉か? パンドラの箱が今開く。」
──山極壽一(京都大学総長)
「人類史と先端テクノロジーを見事に融合した傑作。」
──佐々木俊尚(作家・ジャーナリスト)
著者紹介
ユヴァル・ノア・ハラリ Yuval Noah Harari
1976年生まれのイスラエル人歴史学者。オックスフォード大学で中世史、軍事史を専攻して博士号を取得し、現在、エルサレムのヘブライ大学で歴史学を教えている。軍事史や中世騎士文化についての著書がある。オンライン上での無料講義も行ない、多くの受講者を獲得している。著書『サピエンス全史』は世界的なベストセラーとなった。
目次
【上巻目次】
第1章 人類が新たに取り組むべきこと
生物学的貧困線/見えない大軍団/ジャングルの法則を打破する/死の末日/幸福に対する権利/地球という惑星の神々/誰かブレーキを踏んでもらえませんか?/知識のパラドックス/芝生小史/第一幕の銃
第1部 ホモ・サピエンスが世界を征服する
第2章 人新世
ヘビの子供たち/祖先の欲求/生き物はアルゴリズム/農耕の取り決め/五〇〇年の孤独
第3章 人間の輝き
チャールズ・ダーウィンを怖がるのは誰か?/証券取引所には意識がない理由/生命の方程式/実験室のラットたちの憂鬱な生活/自己意識のあるチンパンジー/賢い馬/革命万歳! /セックスとバイオレンスを超えて/意味のウェブ/夢と虚構が支配する世界
第2部 ホモ・サピエンスが世界に意味を与える
第4章 物語の語り手
紙の上に生きる/聖典/システムはうまくいくが……
第5章 科学と宗教というおかしな夫婦
病原菌と魔物/もしブッダに出会ったら/神を偽造する/聖なる教義/魔女狩り
【下巻目次】
第6章 現代の契約
銀行家はなぜチスイコウモリと違うのか?/ミラクルパイ/方舟シンドローム/激しい生存競争
第7章 人間至上主義
内面を見よ/黄色いレンガの道をたどる/戦争についての真実/人間至上主義の分裂/ベートーヴェンはチャック・ベリーよりも上か?/人間至上主義の宗教戦争/電気と遺伝学とイスラム過激派
第三部 ホモ・サピエンスによる制御が不能になる
第8章 研究室の時限爆弾
どの自己が私なのか?/人生の意味
第9章 知能と意識の大いなる分離
無用者階級/八七パーセントの確率/巫女から君主へ/不平等をアップグレードする
第10章 意識の大海
心のスペクトル/恐れの匂いがする/宇宙がぶら下がっている釘
第11章 データ教
権力はみな、どこへ行ったのか?/歴史を要約すれば/情報は自由になりたがっている/記録し、アップロードし、シェアしよう! /汝自身を知れ/データフローの中の小波
謝 辞
訳者あとがき
原 註
図版出典
索 引
参考資料
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関連サイト
『ホモ・デウス』訳者 柴田裕之氏×ジャーナリスト佐々木俊尚氏 | 本の要約 ...
https://www.flierinc.com/column/eventreport_001