読書案内

お薦めの本を紹介します

池田晶子 最後の問いー知と信のはざまでー

君自身に還れ

 知と信を巡る対話

 池田晶子 大峯顯

   本願寺出版社

君自身に還れ 知と信を巡る対話

君自身に還れ 知と信を巡る対話

 

   
 本書は「自分の言葉」を持った二人の碩学の対話の記録です。全体としては、<知=哲学>と<信=信仰(宗教)>を巡って、専ら池田さんが真理を追究する「知」の立場からの問いを発し、大峯顯先生が「信」をベースに答える、といった内容で、池田さんの「知」への誠実さ、大峯先生の「信」に対する真摯さと深い確信が行間から伝わってきます。

 池田さんの思想は西洋哲学を基礎としており、直接的には浄土真宗との結びつきはないです。だが、池田さんと親鸞の直弟・唯円には、共に“真面目一途な求道者”という一点において、二人の姿が重なってみえてしまいます。そして池田さんは、たとえば本書の中で大峯先生が語る「仏教の内在的超越」「信心の智慧」などの言葉を引き受けられる哲学者になっていったかもしれないです。

 内容紹介

「人生とは何のためか」「自己とはいったい誰か」。現代社会のさまざまな課題に気鋭の哲学者と真宗信仰に理解の深い宗教学者が切り込み、「ほんとう」とは何かについて論じ合う。本書は、人気文筆家である池田晶子氏と浄土真宗の僧侶であり、哲学者・俳人という多彩な顔を持つ大峯顯氏との対談をまとめたものである。

著者紹介

池田 晶子(いけだ・あきこ)

(1960-2007)1960年東京生まれ。文筆家。慶応大学文学部哲学科卒業。専門用語を使わず、哲学するとはどういうことかを日常の言葉で語る「哲学エッセイ」を確立した。2007年2月23日、死去。著書『知ることより考えること』『勝っても負けても―41歳からの哲学―』『41歳からの哲学』『2001年哲学の旅』『死と生きる―獄中哲学対話―』(以上、すべて新潮社)、『14歳の君へ』(毎日新聞社)、『14歳からの哲学』『人生のほんとう』(以上、トランスビュー)、『新・考えるヒント』(講談社)など。

 

大峯 顯(おおみね・あきら)

1929年、奈良県に生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。71~72年文部省在外研究員としてハイデルベルク大学留学。文学博士。大阪大学教授、龍谷大学教授、放送大学客員教授浄土真宗教学研究所所長、教学伝道研究センター顧問を経て、大阪大学名誉教授、毎日俳壇選者。句集『群生海』で、第52回毎日芸術賞、第26回詩歌文学館賞を受賞。奈良県専立寺前住職。著書に『フィヒテ研究』(創文社)、『今日の宗教の可能性』(本願寺出版社)、『宗教と詩の源泉』(法蔵館)、『宗教への招待』(放送大学教育振興会)など多数ある。

目次

まえがき

はじめに 共鳴するもの

第1章 言葉

詩、哲学、宗教
見えるものしか信じない時代
本当の言葉 

ここにいることの不思議
第2章 人間

危機―ニュートラルな世界
自分は死なないと思っている人たち
死からみえてくること―たとえば善と悪 

すべての人は救われるのか

何を求めて生きるのか
第3章 真理

信じること、考えること
表象―語りえぬことへ
真理はみずからあらわれる

おわりに 人生の意味

あとがき

索引

参考図書 

新・考えるヒント

新・考えるヒント

 

 

14歳からの哲学 考えるための教科書

14歳からの哲学 考えるための教科書

 

 

命ひとつ-よく生きるヒント (小学館101新書)

命ひとつ-よく生きるヒント (小学館101新書)

 

 

 関連サイト

池田晶子 | (池田晶子記念)わたくし、つまり Nobody賞


https://www.nobody.or.jp/ikeda_akiko/ 
池田晶子公式ページ. 【略歴】. 1960年(昭和35年)8月21日午後9時5分、東京の一隅に生を得る。 1983年(昭和58年)3月、慶應義塾大学文学部哲学科倫理学専攻を卒業。 文筆家と自称する。池田某とも。 専門用語による「哲学」から哲学を解放する一方で、 ...
 
 
哲学というと、私達には「難しい」という先入観がありますが、一方で書店では哲学書が非常に良く売れています。生き方を模索している人が多いせいかもしれません。 池田. 「哲学が難しい」というのは、ある意味、間違っていません。ただ「難しい」と思う根拠が違っ ...
 
 
今日は大阪大学名誉教授で、現在龍谷大学教授の哲学者大峯顕さんを、この大淀町のお寺にお訪ねします。大峯さんは吉野川を見下ろして建つ専立寺(せんりゅうじ)というお寺のご住職をしておられます。どうぞ宜しくお願い致します。 大峯: 宜しくお願い致します ...