元気
川村元気 文春文庫
本書は、 川村元気さんが各界の巨匠にインタビューした本です。川村元気さんが、あえて「僕は今、心から『仕事がしたいです』と言えるだろうか」という自身のリアリティを告白した逆説的な「まえがき」は、心をつかまれます。そして、12人の巨匠たちに「僕と同じ年の頃、何をしていましたか?」と体当たりして問うた対談形式の一冊は、一言でいうと「今までにはなかったけれど、こういうのを読みたかった」仕事の本となっています。
その他の点においても本人のリアルな悩みから出発している一人の青年としての川村さんのストレートな問いかけにも偉ぶることなく応える巨匠たちの姿勢も本当に立派で、どの告白も濃密で壮絶です。
仕事の正解というのは多くのビジネス本のように明解な答えはなくて、それぞれの環境や条件や人生によって違っていいんだということです。ただひたすら、あきらめずに正解を探し続け、生み出したものはすべてが立派な「仕事」であるということです。そして、仕事というのはそれほどまで粘り強く向き合ってはじめて「仕事」になるということです。
本書では、もしかしたらいつかの時代やどこかの国では当たり前のことを今さら明らかにし、まさに川村さんという人にしか捉えられないこれからの時代を働き抜いていかなければいけない世代のモヤモヤを確実に晴らしてくれます。そして、本書は、12人の巨匠がまさに巨匠になるまでの軌跡が凝縮されてます。
内容紹介
「私と同じ年の頃、何をしていましたか?」
「悩んだとき、どう乗り越えましたか?」
川村元気が12人の巨匠に学んだ、仕事で人生を面白くする力!
大人になってからのほとんどの時間、僕らは仕事をしている。
だとしたら僕は人生を楽しくするための仕事がしたい――。
映画プロデューサー、作家として躍進を続ける川村元気が、
仕事で世界を面白くしてきた12人の巨匠に聞いた「壁を乗り越え、一歩抜け出す」唯一無二の仕事術!
【本書より】
●山田洋次――批判する頭のよさよりいいなぁと惚れ込む感性が大事です。
●沢木耕太郎――僕はあらゆることに素人だったし素人であり続けた。
●杉本博司――やるべきことは自分の原体験の中にしかないんです。
●倉本聰――世間から抜きんでるにはどこかで無理をしないといけない。
●秋元康――時に判断を間違えるのは仕方ない。大切なのは、間違いを元に戻す力だ。
●宮崎駿――何でも自分の肉眼で見る時間を取っておく。作品を観ることと、物を見ることは違うんです。
●糸井重里――人間は仕事の一部分でしかない。だから、どうやって生きるかを面白くやれ。
●篠山紀信――世界をどうにかしようなんて、おこがましい。大事なのは受容の精神です。
●谷川俊太郎――人類全体の無意識にアクセスできる仕事であればいいんじゃないかな。
●鈴木敏夫――最近はみんな丁寧に物をつくるから、完成したときには中身が時代とズレちゃう。
●横尾忠則――自分が崩落していく感覚の先に新たな道を見つけることも多いと思います。
●坂本龍一――勉強とは過去の真似をしないためにやるんです。
著者紹介
川村 元気(かわむら・げんき)
1979年横浜生まれ。上智大学文学部新聞学科卒。2010年、米The Hollywood Reporter誌の「Next Generation Asia」に選出され、翌11年には優れた映画製作者に贈られる「藤本賞」を史上最年少で受賞。12年、初小説『世界から猫が消えたなら』を発表。14年、絵本『ムーム』を発表。Robert Kondo&Dice Tsutsumi監督によりアニメ映画化され、全世界32の映画祭にて受賞。18年、初監督映画『どちらを選んだのかはわからないがどちらかを選んだことははっきりしている』がカンヌ国際映画祭短編コンペティション部門に選出される。
目次
まえがき
山田洋次
沢木耕太郎
杉本博司
倉本聰
秋元康
宮崎駿
糸井重里
篠山紀信
谷川俊太郎
鈴木敏夫
横尾忠則
坂本龍一
あとがき
参考図書
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