読書案内

お薦めの本を紹介します

経済の本なのに、異様に面白い

 父が娘に語る

美しく、深く、壮大で、

とんでもなくわかりやすい

    経済の話。

    ヤニス・バルファキス

[訳] 関美和 ダイヤモンド社

 

  著者のヤニス・バルファキス氏は、アテネ生まれ、ギリシァ経済危機時の財務大臣で経済学者です。本書は、父が娘に語る形式で、残酷でシビアな現実の資本主義の話を歴史文明を踏まえて「体系的」に「美しく」哲学を語るような内容です。

 本書の主旨は、今の世界の経済を支配している「市場」というものがどこから生まれて、どういう性質を持っているのか、それは素晴らしいものなのか? 本書はそうした話を更に(10代の娘が興味を持つような)エピソードや、過激な未来を仮想して書いていて、わかりやすく、【順を追って自分の頭で結論を考えられるような仕組み】になっているのが特徴です。

 市場と金融の機能を讃えつつ、でもどうしてこんな格差があるの? どうして環境が破壊されるの? ロボットに人が支配される日がくるかもしれないの? こうした問題提起を、著者は、タイトル通り本当に暖炉のそばで娘に物語を読んで聞かせる調子で、個人的な体験や、神話、歴史的事実を元にして読者に語りかけます。

 本書では、「余剰がなければ国家はそもそも存在しなかった」「支配者を正当化する思想がなければ国家の権力は維持できいため宗教が生まれた」「オーストラリアは自然の恵みが豊かであったため農耕技術は発達せず、余剰も生まれなかった。そのためアボリジニはイギリス人に支配された」など、物事の起源に立ち返って説明していて、なるほどと思わされます。

 しかし、難解な用語を使わないと言っても限界はあり、徐々に難しくなってきて、これは聡明な14歳でもさすがに理解できないだろう、と思えることが増えてきます。それでも本書を通底する「経済学者の言うことは信じるな。自分で考えろ」というメッセージは鮮烈で、これだけのために本書を読む価値は十分にあると言えます。

著者が娘へ贈った言葉に感動します。
「君には 、いまの怒りをそのまま持ち続けてほしい 。でも賢く 、戦略的に怒り続けてほしい 。そして 、機が熟したらそのときに 、必要な行動をとってほしい 。この世界を本当に公正で理にかなった 、あるべき姿にするために 」

 内容紹介

★世界って、こういうものだったのか! 
★経済を知るとはこれほど面白いことだったのか! 
★世界的ベストセラー! 25ヵ国で続々刊行! 
★「朝日新聞」(梶山寿子氏評)にて
「とんでもなくわかりやすいだけでなく、とんでもなくおもしろい」
「知的好奇心を刺激するドラマチックな展開に、ぐいぐい引き込まれる」
「一冊で仮想通貨や公的債務の是非、環境問題まで網羅しているのも驚き」と絶賛! 

財務大臣の父がホンネで語り尽くす!シンプルで、心に響く言葉で本質をつき、世界中で大絶賛されている、究極の経済×文明論!


◎現代の世界はどんな「仕組み」で動いているのか
◎なぜ一部の人たちだけに「富」が集中するのか
◎「経済危機」の裏に隠れているものは何か

「資本」や「資本主義」という言葉を
使わずに経済を語ったら、
とんでもなく本質がわかるようになった! 

経済の本なのに「一気に読める」
「ページをめくる手が止まらない」と話題沸騰! 
読み終えた瞬間、世界が180度変わって見える! 

★元財務大臣の父が、十代の娘に向けて、
シンプルで、心に響く言葉で本質を語り、
世界中で支持されている、
究極の「経済×文明論」! 

小説、映画から、ギリシャ神話まで、
古今東西の知を総動員! 
もっともシンプルで、もっとも伝わる言葉で、
いまの「世界」と「経済」の本質を捉えきった、
現代を生きるすべての人必読の書! 

・なぜ、こんなに「格差」があるのか
・自分のことすら「市場価格」で測ってしまう
・すべての富は「借金」から生まれる
・「金融」の仕組みのウラ側とは
・「終わりの予感」が経済を崩壊させる

これからの時代を生きていくために、
もっとも大切な「知識・考え方・価値観」を
一気に詰め込んだ、驚くべき一冊。

著者等紹介

ヤニス・バルファキス(Yanis Varoufakis)
1961年アテネ生まれ。2015年、ギリシャの経済危機時に財務大臣を務め、EU から財政緊縮策を迫られるなか大幅な債務帳消しを主張し、世界的な話題となった。長年イギリス、オーストラリア、アメリカで経済学を教え、現在はアテネ大学で経済学教授を務めている。著書には本書の他に、EU経済の問題を指摘した『そして弱者は困窮する』(未邦訳)や「史上最良の政治的回想録の1つ」(ガーディアン紙)と評された『アダルツ・イン・ザ・ルーム』(未邦訳)など、数々の世界的ベストセラーを持つ。2016年にはDiEM25(民主的ヨーロッパ運動2025)を共同で設立し、その理念を世界中に訴えている。

関美和(せき・みわ)
翻訳家。杏林大学准教授。慶應義塾大学卒業後、電通スミス・バーニー勤務を経て、ハーバード・ビジネス・スクールでMBA取得。モルガン・スタンレー投資銀行を経て、クレイ・フィンレイ投資顧問東京支店長を務める。主な訳書に『誰が音楽をタダにした?』(ハヤカワ文庫NF)、『MAKERS 21世紀の産業革命が始まる』『ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか』(NHK出版)、『FACTFULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』(日経BP社)、『明日を生きるための教養が身につく ハーバードのファイナンスの授業』(ダイヤモンド社)など。

目次

プロローグ 経済学の解説書とは正反対の経済の本
・目の前の混乱から離れて世界を見つめ直す
・資本主義を解き明かす

第1章 なぜ、こんなに「格差」があるのか?――答えは1万年以上前にさかのぼる
・なぜ、アフリカから強国が出てこなかったのか? 
・地域内格差――金持ちは100万ドルを簡単につくれる

第2章 市場社会の誕生――いくらで売れるか、それがすべて
・ふたつの価値――経済学者はすべてを「値段」で測る
・世界はカネで回っている? 

第3章 「利益」と「借金」のウエディングマーチ――すべての富が借金から生まれる世界
・悪魔が考えた「地獄」より残酷なこと
・富と競争――競争に勝つには借金するしかない

第4章 「金融」の黒魔術――こうしてお金は生まれては消える
・起業家はタイムトラベラー――未来から無限の交換価値をつかみとる
・歯車が「逆回転」しはじめる

第5章 世にも奇妙な「労働力」と「マネー」の世界――悪魔が潜むふたつの市
・狩人のジレンマ――全員で鹿を狙うか、ひとりでうさぎを狙うか? 
・悪魔が潜む場所――「マネー・マーケット」とは何か? 
・予言は自己成就する――もしソポクレスが経済の教科書を書いたら? 

第6章 恐るべき「機械」の呪い――自動化するほど苦しくなる矛盾
・巨大企業にとっての「すばらしい新世界
・絶望を見せてくれるのは誰か? 

第7章 誰にも管理されない「新しいお金」――収容所のタバコとビットコインのファンタジー
・誰も税金を払いたくなければ、どうすればいい? 
ビットコイン――「1通のメール」がもたらした衝撃

第8章 人は地球の「ウイルス」か?――宿主を破壊する市場のシステム
・節度のない者は「愚か者」になる――駄目と知りながら競争を止められない
・未来のすべてを決める対決――「すべてを民主化しろ」vs「すべてを商品化しろ」

エピローグ 進む方向を見つける「思考実験」 
・思考実験――君は理想の世界に行きたいか? 
・占い師のロジック――私が経済学者になった理由

 

参考図書 

11歳のバフェットが教えてくれる「経済」の授業

11歳のバフェットが教えてくれる「経済」の授業

 
 

 

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

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 › レビュー
 
2019/04/24 - ダ・ヴィンチニュースで『父が娘に語る 美しく深く壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』(ヤニス・バルファキス,関 美和/ダイヤモンド社)のあらすじ・レビュー・感想・発売日・ランキングなど最新情報をチェック!景気,経済.