読書案内

お薦めの本を紹介します

落合陽一のデジタルネイチャー

  デジタルネイチャー

  生態系を為す汎神化した

   計算機による侘と寂

                落合陽一 

PLANETS/第二次惑星開発委員会

 

デジタルネイチャー 生態系を為す汎神化した計算機による侘と寂

デジタルネイチャー 生態系を為す汎神化した計算機による侘と寂

 

 

  本書はテクノロジー、経済、アート、宗教などの著者の知見を複合した上で紡がれた、著者の提唱する「デジタルネイチャー(計算機自然)」についての書籍です。語や概念についての注釈が大量についているおかげで、上記のような知識がなくても読み進めることができると思います。
 内容が難しいと思いますが、注釈のおかげで、新聞を読める程度の読解力と、知的好奇心、この本を読むというモチベーションがあれば十分読了することが可能だと思います。
 人間と機械の関係性を考える契機、現代から未来へと社会はどう変わっていくかへの関心を呼び起こすなど、様々な思考のきっかけを与えてくれる本だと思ます。

 

 内容紹介

十分に発達した計算機群は、自然と見分けがつかない――
デジタルネイチャー、それは落合陽一が提唱する未来像でありマニフェストである。
ポストモダンもシンギュラリティも、この「新しい自然」の一要素にすぎない。否応なく刷新される人間と社会。それは幸福の、経済の、民主政治の再定義をもたらす。新たなるパラダイムはここから始まる……! 

「我々は、「ゲート」や「つなぎ目」のない世界を生み出し、標準化を多様性で置き換え、個人の幸福や不安といった人間性に由来する強迫観念をテクノロジーによって超越しうる。我々にとって必要なのは、テクノロジーが向かう未来へのビジョンと情熱だ。」(あとがきより)

著者紹介

落合陽一(おちあい・よういち)

1987生。2015年東京大学学際情報学府博士課程修了(学際情報学府初の短縮終了)、博士(学際情報学)。2015年より筑波大学図書館情報メディア系助教デジタルネイチャー研究室主宰。2015年Pixie Dust Technologies.incを起業しCEOとして勤務。2017年より筑波大学学長補佐、大阪芸術大学客員教授デジタルハリウッド大学客員教授を兼務。2017年12月「デジタルネイチャー推進戦略研究基盤」を筑波大学内に設立し、筑波大学助教を退職、及び本基盤の代表/准教授として筑波大学に再就任し、現職。JST CREST xDiversity代表。専門はCG、HCI、VR、視・聴・触覚提示法、デジタルファブリケーション、自動運転や身体制御・多様化身体。研究論文は分野の最難関国際会議であるACM SIGGRAPHACM UIST、CHIなどに採択されている。

目次

まえがき

第1章 デジタルネイチャーとは何か――オーディオビジュアルの発明、量子化、デジタル計算機、そして計算機自然、デジタルネイチャーへ
機械と自然が融合する時代が始まる/メディアアーティストとしてのエジソン/電流戦争から100年後の直流的デジタル社会/〈近代〉を規定する「エジソン=フォード境界」を乗り越える/「AI+BI型」と「AI+VC型」に分化する社会/「タイムマネジメント」から「ストレスマネジメント」の時代へ

第2章 人間機械論、ユビキタス、東洋的なもの――計算機自然と社会
〈人間〉と〈機械〉の統一理論・サイバネティクス/「End to End」という魔術/サイバネティクスユビキタスを思想的に継承する/計算機自然が〈人間の補集合〉となる

第3章 オープンソースの倫理と資本主義の精神――計算機自然と自然化する市場経済
マルクスウェーバーに還って現代のエコシステムを考える/オープンソースの倫理と資本主義の精神/絶えずリセットされ続ける市場の出現/「脱倫理性」がもたらす可能性

第4章 コンピューテーショナル・ダイバーシティ――デジタルネイチャー下の市民社会像、言語から現象へ
リアル/バーチャルからマテリアル/バーチャルへ/〈人間‐機械〉の中間領域にあるオルタナティヴ/コンピューテーショナル・ダイバーシティ/ダイバーシティにコミュニティや社会の意思決定を最適化する

第5章 未来価値のアービトラージと二極分化する社会――デジタルネイチャーは境界を消失させる
〈楽園〉の世界と〈奴隷〉の世界の二項対立を乗り越える/第三のてこの原理「アービトラージ」/帝国に対抗する「ラボドリブン」の可能性

第6章 全体最適化された世界へ――〈人間〉の殻を脱ぎ捨てるために
コード化によって変わる遺伝的多様性/ロボティクスとVRによって解放される「身体」/解体される「自我」「幸福」「死」の概念/失われた多様性をインターネットが担保する/人間の寿命を超えた知性が出現する

終章 思考の立脚点としてのアート、そしてテクノロジー――未来を予測する最適の方法としての
〈超人〉・〈身体性〉からデジタルネイチャーへ/〈物質〉と〈実質〉の境界を突破する/〈生命〉と〈機械〉の新しい関係/不可視のデータ、そして重力からの解放へ/風景と計算機自然

あとがき 汎化と遺伝子と情報 

参考文献一覧

参考図書 

魔法の世紀

魔法の世紀

 

 

超AI時代の生存戦略 ―― シンギュラリティ<2040年代>に備える34のリスト

超AI時代の生存戦略 ―― シンギュラリティ<2040年代>に備える34のリスト

 

 

 

関連サイト

落合陽一公式ページ / Yoichi Ochiai Official Portfolio


https://yoichiochiai.com/ 
落合陽一の公式ページです. メディアアーティストで光や音や物性や計算機メディアの研究をしているような感覚的物書きで博士持ちのスナップシューターです.多様性社会を目指す波動使いの准教授.アート・研究・教育・経営。4足の草鞋で走る31歳.
 
 

落合陽一 デジタルネイチャー研究室: Digital Nature Group


https://digitalnature.slis.tsukuba.ac.jp/ 
計算機自然は,人と機械,物質と実質の間に多様な選択肢を示す」 落合陽一准教授が主宰するデジタルネイチャー研究室は,ユビキタスコンピューティングの先に「計算機自然(Digital Nature)」の到来を見据えています.計算機自然では,人と機械,物質 ...
 
 

『デジタルネイチャー 生態系を為す汎神化した計算機による侘と寂 ...


https://allreviews.jp/review/2573 
 › 書評/解説/選評 › 科学・テクノロジー
 
2018/08/26 - 落合陽一『デジタルネイチャー 生態系を為す汎神化した計算機による侘と寂』への養老 孟司の書評。自然言語の枠、外して見るAI関係の本を読み続けているので、なにも考えずに、たまたま本書を手に取った。著者が私より五十年若く、これ ...