宇宙から恐怖が
やってくる!
地球滅亡9つのシナリオ
フィリップ・プレイト
[訳]斉藤 隆央 NHK出版
本書は表題の通り、隕石衝突、太陽活動の活発化、超新星爆発、ガンマ線バースト、ブラックホールなど宇宙における様々な天体現象が、地球に襲いかかってきたらどうなるかを、シミュレーションしたものです。
各章の前段で、SF仕立てで臨場感のある危機の場面を描いており、ぐいぐいと引き込まれる。その上で、最新の天体観測結果と、最新の宇宙理論が実に具体的に示されて、興味深くかつ楽しく読めます。
さらに、それぞれのリスクからの回避する方法まで、述べています。たとえば、小惑星の衝突を避ける方法として、ロケットを小惑星の近くに配置して、ロケットの質量を利用してタグボートのように曳航する方法。太陽の死への対策としては、彗星を活用して火星を人間の住める星とするアイデアや小惑星のスイングバイを利用して、徐々に太陽から遠ざかる方法など実にユニークです。
また、銀河系を回る太陽系は、6400万年周期で上下動をしているが、化石から判明している生物の大量絶滅の周期をほぼ一致しているという事実も興味深いです。
それにしても、宇宙はとてつもない力を秘めているものであり、我々にはまったく及びもつかないものだと改めて感じます。
内容紹介
巨大隕石がある日突然ぶつかってきたり、ブラックホールに呑み込まれたり、エイリアンが侵略してきたり―それが「もしも」のことではなく、「いつか」起こることだとしたら…?そのとき、地球は果たして生き延びられるのだろうか?幼いころからB級SFエンターテインメントに夢中で長じて天文学者となったプレイト博士が、少年時代の空想を最新の科学研究から検証。太陽の爆発、ガンマ線バースト、宇宙の死など古典的な名作SFからハリウッド映画まで、さまざまな形でとりあげられてきた地球の滅び方を再現しながら天文学的知識をまなべるクールなサイエンス・ノンフィクション。
著者等紹介
フィリップ・プレイト(PhiLIP Plait)
天文学者。ヴァージニア大学で天文学のPh.D.取得。COBE衛星やハッブル宇宙望遠鏡などでのミッションに従事、2000年から2007年にかけてカリフォルニア州にある。ソノマ州立大学にて宇宙物理学・天文学部門で研究をおこなうかたわら、ガンマ線宇宙望遠鏡による研究活動の広報に従事する。
現在は、執筆を中心に、TVや新聞、National Geographic誌、Astronomy誌などさまざまな媒体でも活躍。懐疑論者としても著名であり、「アポロ計画は捏造」などの陰謀論や
エセ科学論への鋭く軽妙な反論、的確な分析にファンが多い。著者のサイトbadastronomy.comは、2007年度ウェブログ賞でのベスト・サイエンス・ブログ、2009年度Time.comによるベスト・ブログ25に選ばれたのをはじめ、数々の賞に輝く。著書に『イケナイ宇宙学』(楽工社)。
斉藤隆央(さいとう・たかお)
翻訳家。1967年生まれ。東京大学工学部工業化学科卒業。訳書にミチオ・カク『パラレルワールド』、同『サイエンス・インポッシブル』(以上、NHK出版)、オリヴァー・サックス『タングステンおじさん』、ピーター・アトキンス『ガリレオの指』、同『万物を駆動する四つの法則』、マリオ・リヴィオ『黄金比はすべてを美しくするか?』、同『なぜこの方程式は解けないか?』(以上、早川書房)、アンドルー・H・ノール『生命 最初の30億年』(紀伊國屋書店)、ニック・レーン『ミトコンドリアが進化を決めた』(みすず書房)、共訳にバニー・クラムパッカー『数のはなし』(東洋書林)、フィリップ・プレイト『イケナイ宇宙学』など多数。
目次
はじめに
1 ターゲットは地球 小惑星や彗星の衝突
2 太陽に焼かれて
3 超新星の猛威
4 宇宙の溶接バーナー ガンマ線バースト
5 底なしの穴、ブラックホール
6 エイリアン・アタック!
7 太陽の死
8 ブライト・ライツ、ビッグ・ギャラクシー
9 すべての終わり
エピローグ・ボクは大丈夫?
謝辞
付録 近隣で(距離一〇〇〇光年未満)、やがては超新星になる恒星
訳者あとがき
参考図書
宇宙に「終わり」はあるのか 最新宇宙論が描く、誕生から「10の100乗年」後まで (ブルーバックス)
- 作者: 吉田伸夫
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2017/02/24
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