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死を悼む動物たち

死を悼む動物たち

  バーバラ・J・キング

 [訳] 秋山 勝 草思社文庫

 

死を悼む動物たち

死を悼む動物たち

 


 本書は、筆者であるバーバラ・Jキングが人類学者の立場としての「動物達の心」の研究をまとめたものです。本書には様々な動物が登場します。サバンナで生きる象などの野生動物達、飼育されているヤギや鶏などの動物やペットとして飼われている犬、猫やウサギ、そして海に生きる哺乳類達です。彼らが仲間の死に直面した時に、どのような態度をとっているのかの記録です。
 著者は動物達の悲しみの定義を「死そのものを知的に理解できるかどうかではなく、感じることが出来るかどうか?」という立場から検証しています。プールに落ちた仲間を助けるために人間を呼びにいく鶏たち、過去を記憶して後悔する象、悲しみのあまりに自殺をするクマの話など、読んでいてとても辛くなるストーリーばかりですが、これまで何気なく食べていたチキン(鶏)がこれほど感情豊かな生き物であることを知って改めて驚いています。
 こうした知識が広く伝われば、無暗にペットを捨てたり、食べ物を粗末にしたり、動物虐待をする人が減るのではないでしょうか。また、動物達の心を垣間見ることにより、より優しく接することが出来るようになると思います。

 内容紹介

動物たちは家族や仲間の「死」を悲しんでいるのか。これまで科学は、人間の感情を安易に動物に投影することを禁じてきた。だがこの数年、死をめぐる動物たちの驚くべき行動が次々と報告され、自然人類学者である著者も数年にわたる実地調査によって、その考えを変えざるを得なくなったという。
死んだ子を離そうとしないイルカ、母親の死を追いかけるように衰弱し死んだチンパンジー、仲間の遺骸のうえに木の葉や枝をかぶせるゾウ。さらに猫や犬やウサギ、馬や鳥などきわめて多くの心揺さぶられる事例が本書では紹介される。
死を悼むという行動は、人間だけのものなのだろうか――。

 

著者紹介

バーバラ・J・キング(Barbara J・King)

ウィリアム・アンド・メアリー大学名誉教授。専門は自然人類学。ダグラス・カレッジ卒業、オクラホマ大学で博士号を取得後、ケニアでサルの研究を行い、さらにアフリカ、アメリカの各地でサルや大型類人猿の観察を進めてきた。人間と動物を結ぶ情動的関係について、その研究は従来の考察を深めたとして高い評価を得ている。ナショナル・ジオグラフィック・ラジオなどアメリカ国内をはじめさまざまなメディアに幅広く登場。主著にPersonalities on the Plate: The Lives and Minds of Animals We Eat(University of Chicago Press, 2017)、Being With Animals (Doubleday,2010)、 Evolving God (Doubleday,2007)、 The Dynamic Dance (Harvard University Press,2004)がある。バージニア州在住で、夫とともに野良猫の愛護活動に取り組んでいる。

 

秋山 勝(あきやま・まさる)

立教大学卒業。出版社勤務を経て翻訳の仕事に。訳書に、ジャレド・ダイアモンド『若い読者のための第三のチンパンジー』、デヴィッド・マカルーライト兄弟』、曹惠虹『女たちの王国』(以上、草思社)、ジェニファー・ウェルシュ『歴史の逆襲』、マーティン・フォード『テクノロジーが雇用の75%を奪う』(以上、朝日新聞出版)など。

 

目次

プロローグ 動物たちの悲しみと愛について
第1章 死んだ妹を探して―猫
第2章 最良の友だち―犬
第3章 農園の嘆き―馬・ヤギ
第4章 悲しみがうつを引き起こす―ウサギ
第5章 骨に刻み込まれた記憶―ゾウ
第6章 死んだ子ザルを手放せない―サル
第7章 チンパンジーのやさしさと残酷さ
第8章 愛と神秘を語る鳥たち―コウノトリ、カラス
第9章 嘆きの海に生きる―イルカ、クジラ、ウミガメ
第10章 悲しみをは種を超えて
第11章 自殺する動物たち
第12章 霊長類の嘆き
第13章 死亡記事と死への記憶
第14章 文字につづられた悲しみ
第15章 先史時代の悲しみ

おわりに

謝辞

訳者あとがき

参考文献と映像資料

 

参考図書

生き物の死にざま

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動物学者が死ぬほど向き合った「死」の話

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