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池上彰が問う「戦争のない未来」にするためには?

池上彰の考える戦争ない未来

池上彰 理論社

池上彰の 君と考える戦争のない未来 (世界をカエル10代からの羅針盤)

本書は、池上彰さんが中高生向けに書き下ろした「戦争のない未来」の実現のための戦争全般の基本的な事が書かれた本です。たいへん分かりやすく書かれてます。また、大人でも学ぶことが多いです。

最初に戦争の定義から始まり、戦争と紛争と暴力等の違いを説明します。そして、なぜ人間は戦争を起こすのか?この根源的な問いに対し、ギリシャ時代から現代までの世界や日本で起こった様々な戦争がどのように起きたのか、そしてどう終結し、その結果どんな影響があったかを平易な文章で解説しています。

今日でも世界のどこかで戦争が起きてます。そして、本書の中で戦争を防ぐための解決策にも触れてます。

本書の中で印象的だったのは、「オバマ大統領、広島で演説」の箇所の池上さんが体験した以下の箇所です。

・・・私は大統領から約一〇〇メートル離れた場所で演説を聞いていました。

私は一九七六年から三年間、NHK広島放送局に勤務し、呉通信部に駐在していました。このとき被ばく者の方々を取材し、親しくさせていただいていました。その方々から、原爆投下後の広島のようすや、被ばくした人々の悲惨な姿を直接聞いていました。それだけにアメリカの大統領が広島に来て演説するという現実に感動し、演説を聞いているうちに涙が止まりませんでした(251頁)。

最後の所で、池上さんは次のように提言をしてます。

戦争は人間が始めるものです。それならば、人間がやめることができるのです。その目標に向かって、一人ひとりが自分の問題として考え、一歩ずつ歩んでいきましょう(311頁)。

この提言を、世界じゅうの人間が、心掛ければ「戦争のない未来」に少しでも近づくと思います。

出版社の内容紹介

池上彰が中高生に向けに書き下ろしたノンフィクション。戦争は暴力である。人はなぜ戦争をするのか? 戦争の変遷、戦争の種類、武器の歴史、戦争のルールや条約の歴史などを丹念に辿る。過去の戦争1つ1つに理由があった、だからしかたがない、と諦めるのではなく、その理由を取り除く方法を考える。人間への信頼や希望、一人一人が考え行動していくヒントに満ちた一冊。

編集者コメント

池上さんは、戦争をなくすためには、人任せにせず一人一人が自分たちのこととして真剣に考えなくてはならない、と真剣に語りかけます。

理論社

目次

はじめに

第一章 戦争ってなに?

第二章 どんな理由で戦争ははじまるの?

第三章 日本も戦争をしてきた

第四章 第一次世界大戦と国際連盟

第五章 悲惨なアジア・太平洋戦争

第六章 平和国家建設と東西冷戦

第七章 核開発が続いてきた

第八章 どうすれば戦争はなくせるの?

おわりに―戦争をなくすために

資料 広島平和記念公園におけるバラク・オバマ元アメリカ大統領の演説

著者紹介

池上 彰(いけがみ・あきら)

1950年長野県生まれ。ジャーナリスト。名城大学教授、東京工業大学特命教授などを勤め大学での講義も多い。 慶應大学経済学部卒業後、NHK入局。 報道局記者を歴任し1994年から「NHK週刊こどもニュース」に出演、子どもに伝わる解説で人気を博す。2005年退局、フリーランスになり各種メディアで活躍。著書は 『伝える力』『おとなの教養』『新・戦争論』(共著)など多ジャンルにわたる。

本書、戦争についての池上さんのインタビューです。