読書案内

お薦めの本を紹介します

生命の森羅万象を解明するツールーDNA鑑定ー

DNA鑑定 犯罪捜査から新種発見、日本人の起源まで 梅津和夫 講談社 本書は、一般人向けのDNA鑑定の入門書です。山形大学で法医学分野を研究しDNA鑑定の専門家として活躍する著者が、日頃の研究内容や実際依頼を受けたDNA鑑定の内容等を紹介しながら、DNAの面…

なぜ地震・火山活動が、起きるのかを分かりやすく解説!

日本列島の下では何が起きているのか 列島誕生から地震・火山噴火のメカニズムまで 中島淳一 講談社 最近、南海トラフ地震が気になってきたので、地震関連の基礎知識を得ようと本書を手にとりました。 本書は、プレートテクトニクス理論からはじまり、日本列…

「戦争の世紀」を生きた政治哲学者~ハンナ・アーレント~

ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者 矢野久美子著 中公新書 ハンナ・アーレント(Hannah Arendt、1906~1975)は、ドイツ出身の哲学者、思想家で、ユダヤ人です。ナチズムが台頭したドイツから、アメリカ合衆国に亡命し、のちに教鞭をふる…

吉高由里子が演じる伊藤野枝とは? 風よ あらしよ

風よ あらしよ 村山 由佳 集英社 2022年3月にNHKドラマにおいて、吉高由里子主演で直木賞作家村山由佳の原作で伊藤野枝の評伝小説「風よ あらしよ」が放送されます。伊藤野枝を吉高由里子がどう演じるか楽しみです。 伊藤 野枝(いとう のえ、1895年〈明治28…

人類史の壮大な謎の解明とは?ー銃・病原菌・鉄

銃・病原菌・鉄 ジャレド・ダイアモンド 倉骨 彰=訳 草思社文庫 内容紹介 本書は、なぜ様々な民族が異なり、不均衡さをもって現在に至ったのか?過去1万3000年に遡って人類史を解き明かします。 最終氷河期が終わった時点では、世界の各大陸では、似たり寄…

池上彰が問う「戦争のない未来」にするためには?

池上彰の君と考える戦争のない未来 池上彰 理論社 本書は、池上彰さんが中高生向けに書き下ろした「戦争のない未来」の実現のための戦争全般の基本的な事が書かれた本です。たいへん分かりやすく書かれてます。また、大人でも学ぶことが多いです。 最初に戦…

楽しすぎる人類史! 『こども サピエンス史 生命の始まりからAIまで』

こども サピエンス史 生命の始まりからAIまで (著)ベングト=エリック・エングホルム (絵)ヨンナ・ビョルンシエーナ (訳)久山葉子 本書は、著者が、ユヴァル・ノア・ハラリの『ホモ・サピエンス全史』を読んで感銘し、子供向けに分かりやすく描かれた…

戦中の捕虜生体解剖『九州大学医学部事件』の真相を追ったノンフィクションの名著

生体解剖 九州大学医学部事件 上坂冬子 中公文庫 先日、NHKの終戦記念ドラマ『しかたなかったと言うてはいかんのです』(主演:妻夫木聡x蒼井優)を観ました。非常に見ごたえありました。このドラマは、戦中の捕虜生体解剖『九州大学生体解剖事件』を扱った…

「知の巨人」立花隆の書棚

立花隆の書棚 立花隆 薈田 純一 写真 中央公論新社 本書は、著名人の書棚をくまなく撮影して本にする、「〇〇の書棚」という中央公論新社のシリーズの一冊として企画されたもので、「 知の巨人」との異名を持つ立花隆さんの書棚を解説した本です。 また、特…

人類史上最恐の頭脳 フォン・ノイマンの哲学

フォン・ノイマンの哲学 人間のフリをした悪魔 高橋昌一郎 講談社現代新書 本書は、 ハンガリー出身のユダヤ系科学者で、アメリカで原爆を共同開発し、投下決定に関わり、戦後はコンピューター開発に取り組み、ゲーム理論や気象予測の生みの親となり、1957年…

宇宙の話をワクワク読めますー宇宙の話をしようー

宇宙の話をしよう 作 小野雅裕 絵 利根川初美 SB Creative [目次] 宇宙の話をしよう 内容紹介 出版社のお勧めポイント 出版社からのコメント 著者等紹介 本書の目次 内容紹介 本書は、 子供から大人まで、心躍る冒険をするように宇宙発展の歴史等の話をワク…

2022年の高校の新必履修科目「歴史総合」に参考になるー世界史と融合させた日本近現代史ー「大日本史」

大日本史 山内昌之・佐藤優 文藝春秋 [目次] 大日本史 本書の出版の経緯 高校の新必履修科目「歴史総合」 本書の印象的事項 出版社による作品紹介 著者紹介 本書の目次 本書の出版の経緯 本書の「まえがき」において山内氏は、2022年から高校の学習指導要領…

面白い日本史が読みたい人のための「絶対に挫折しない日本史」

絶対に挫折しない日本史 古市憲寿 新潮社 [目次] 絶対に挫折しない日本史 本書執筆の経緯 日本史を学ぶ秘訣 本書の内容 本書の感想 出版社の内容紹介 著者紹介 本書の目次 本書執筆の経緯 本書は、『新潮45』と『波』での連載がもとになってます。また、著者…

”トランプ後”の世界は?ーファシズム 警告の書ー

ファシズム 警告の書 マデレーン・オルブライト 白川貴子・高取芳彦 訳 みすず書房 [目次] ファシズム 出版の経緯 マデレーン・オルブライトの生い立ち ファシズム ファシズムの意義 ファシスト ファシズムの特徴 著者のトランプ 政権の評価 トランプ後の世…

終戦直後に政府自ら戦争原因を究明しようとした国家プロジェクト-戦争調査会 幻の政府文書を読み解くー

戦争調査会 幻の政府文書を読み解く 井上寿一 講談社現代新書 アジア・太平洋(大東亜)戦争は、何故、起きたのか。何故、止められなかったのか。終戦直後(1945年10月30日)に、当時の幣原内閣は「敗戦の原因及実相調査の件」を閣議決定し、それに基づき、…

天、共に在りー中村哲さんのアフガニスタン三十年の闘いー

天、共に在り アフガニスタン三十年の闘い 中村哲 NHK出版 お名前.com 中村哲さんが亡くられて約1年になります。 アフガニスタン東部ナンガルハル州の州都ジャララバードで2019年12月4日、日本人医師で民間活動団体(NGO)「ペシャワール会」現地代表の中村哲さ…

名著を読み解くー深読み!絵本 『せいめいのれきし』ー

深読み!絵本 『せいめいのれきし』 真鍋 真 お名前.com 本書は、絵本の名作であり、長く読み継がれているバージニア・リー・バートンさんの「せいめいのれきし」を国立科学博物館の真鍋真さんにより最新の学説を用いて改訂された「せいめいのれきし」を分か…

脳科学からみた「祈り」ー「祈り」は脳を活性化し免疫力を高める!

脳科学からみた「祈り」 中野信子 潮出版社 本書は、「祈り」の効用を脳科学的に分析した上で、「祈り」を実践するためのアドバイスが提示されてます。そして、脳科学による「祈り」の実践を通じての幸福論が書かれてます。また、本のボリュームも126ページ…

人類が生まれるための12の偶然

人類が生まれるための 12の偶然 眞淳平著 松井孝典監修 宇宙の果てってどうなってるんだろうか?他の銀河に生物はいるのだろうか?人間って次はどんな進化をするのだろうか?これから、地球はどうなるのだろうか?などの疑問の解決の糸口に本書は成ります…

あの戦争は何だったのかー大人のための歴史教科書ー

あの戦争は 何だったのか 大人のための歴史教科書 保坂正康 本書は、私たちが忘れつつあるアジア・太平洋戦争について、平和教育としての「戦争」ではなく、歴史としての「戦争」について書かれてます。そして、日本が何故、無謀な戦争に突入し、破滅に向か…

日本軍兵士ーアジア・太平洋戦争の現実ー凄惨な体験は何を語るのか

日本軍兵士 ーアジア・太平洋戦争の現実 吉田 裕 本書によると、アジア・太平洋戦争で亡くなった310万人の日本人のうち、80万人が民間人で、230万人が軍人・軍属です。その230万人のうち、戦闘で亡くなった兵士よりも、餓死や栄養失調による衰えと感染症等で…

ありえない138億年史ー宇宙誕生と私たちを結ぶビッグヒストリー

ありえない138億年史 宇宙誕生と私たちを結ぶビッグヒストリ 本書の特色は、宇宙、地球、生命、人間を、ビッグバンによる宇宙誕生から現在に至る壮大な歴史科学『ビッグヒストリー』(著者は過去全体を理解しようとパノラマ的な視点からみた歴史と表現してま…

世界史を変えた13の病

世界史を変えた13の病 ジェニファー・ライト[著] 鈴木涼子[訳] 今年(2020年)は、世界中を新型コロナウイルスが猛威をふるってます。そこで過去において世界史を変えた病について書かれてある本書を紹介します。 本書は、歴史的に世界で流行した病を当時の…

猫を棄てる  父親について語るときー時が忘れさせるものがあり、そして時が呼び起こすものがあるー

猫を棄てる 父親について語るとき 村上春樹 本書は、月刊誌「文藝春秋」令和元年六月特別号の特別寄稿「猫を棄てる―父親について語るときに僕の語ることー」を書籍化したものです。 内容は、村上春樹さんの子ども時代の経験を基に、猫とのエピソードを絡めな…

知の旅は終わらないー僕が3万冊を読み100冊を 書いて考えてきたことー

知の旅は終わらない 僕が3万冊を読み100冊を 書いて考えてきたこと 本書は、 類い稀なる好奇心と洞察力で「知の巨人」とよばれている立花隆氏の自伝です。立花隆氏の特徴を簡単に述べると、「ある分野の本を書き上げるためにはその分野を徹底的に調べあげ、…

フィールド 響き合う生命・意識・宇宙

フィールド 響き合う生命 ・意識・宇宙 本書は、2004年発行ですので現在(2020年2月時点)では、最新、最先端の科学ではないかも知れませんが、内容自体は今読んでも面白いです。 本書は、これまでの科学が明らかにしてこなかった驚くべき事実、そして我々の…

読書は脳をどのように変えるのか? プルーストとイカ

プルーストとイカ 読書は脳をどのように変えるのか? 本書は、小児発達学、認知神経科学の教授で、言語と読字とディスレクシアの研究者であると同時にディスレクシアの子どもを持つ母親でもある著者メアリアン・ウルフが「文字を読む」ことと「脳」の関係に…

人を愛するに足り、真心は信ずるに足るーアフガニスタンとの約束ー

人を愛するに足り、 真心は信ずるに足る ーアフガニスタンとの約束ー // 「ペシャワール会」代表の中村哲医師が、2019 年12月4日にアフガニスタンにおいて、車で移動中に何者かに銃撃を受け、お亡くりになりました。ご冥福をお祈り申し上げます。 中村哲さん…

私はすでに死んでいるーゆがんだ<自己>を生みだす脳ー

私はすでに死んでいる ゆがんだ<自己>を生みだす脳 アニル・アナンサスワミー [訳] 藤井留美 [解説] 春日武彦 紀伊國屋書店 // リンク 書名の「私はすでに死んでいる」もショッキングですが、副題の「ゆがんだ<自己>を生みだす脳」もなかなか意味深です…

「戦争と平和」の世界史ー日本人が学ぶべきリアリズムー

「戦争と平和」の世界史 日本人が学ぶべき リアリズム 茂木誠 TAC出発 本書は、著者が大手予備校の有名講師とのことで、平易で分かりやすく、普遍的視点なので、楽しく読めます。 著者の著作は左派勢力に対してかなり辛辣な歴史観に満ちています。ですが、決…