書き替えられてきた過去
内容紹介
近代日本の始まりは、ペリー来航ではなく、かつては天保の改革とされていた。高度成長期の公害問題が起こるまで、田中正造は忘れられた存在だった―。歴史は、新史料発見・新解釈により常に書き替えられる。特に近現代史は、時々の政治・社会状況の影響を受けてきた。本書は、マルクス主義の影響下にあった社会経済史をはじめ、民衆史、社会史という三つの流れから、近現代の歴史がどのように描かれ、修正されてきたかを辿る。
著者紹介
成田 龍一(なりた・りゅういち)
1951(昭和26)年大阪市生まれ。83年早稲田大学大学院文学研究科日本史専攻博士課程修了。文学博士(史学)。86年東京外国語大学外国語学部助教授。90年日本女子大学助教授。96年より日本女子大学人間社会学部現代社会学科教授(専攻・歴史学、近現代史)。
著書
- 『加藤時次郎』(不二出版 1983年)
- 『「故郷」という物語 都市空間の歴史学』(吉川弘文館1998年)
- 『〈歴史〉はいかに語られるか 1930年代「国民の物語」批判』(日本放送出版協会[NHKブックス] 2001年/ちくま学芸文庫 2010年)
- 『歴史学のスタイル 史学史とその周辺』(校倉書房 2001年)
- 『近代都市空間の文化経験』(岩波書店 2003年)
- 『司馬遼太郎の幕末・明治 『竜馬がゆく』と『坂の上の雲』を読む』(朝日選書 2003年)
- 『「大菩薩峠」論』(青土社 2006年)
- 『歴史学のポジショナリティ 歴史叙述とその周辺』(校倉書房 2006年)
- 『シリーズ日本近現代史(4) 大正デモクラシー』(岩波新書 2007年)
- 『戦後思想家としての司馬遼太郎』(筑摩書房 2009年)
- 『「戦争経験」の戦後史-語られた体験/証言/記憶』(岩波書店 2010年)
- 『近現代日本史と歴史学 書き替えられてきた過去』(中公新書 2012年)
- 『歴史学のナラティヴ 民衆史研究とその周辺』(校倉書房 2012年)
- 『戦後日本史の考え方・学び方 歴史って何だろう?』(14歳の世渡り術 河出書房新社 2013年)『戦後史入門』河出文庫 2015年
- 『加藤周一を記憶する』(講談社現代新書 2015年)
- 『「戦後」はいかに語られるか』河出ブックス 2016年
目次
はじめに
序章 近現代日本史の三つのパラダイム
第1章 明治維新1―開国
第2章 明治維新2―倒幕
第3章 明治維新3―維新政権
第4章 自由民権運動の時代―変わる評価の主体
第5章 大日本帝国論―国家と天皇制の解明
第6章 日清・日露戦争の時代―一八九四~一九一〇年
第7章 大正デモクラシー期―一九一〇年代~二〇年代
第8章 アジア・太平洋戦争の時代―一九三一~四五年
第9章 戦後社会論―同時代史の解明
参考文献
あとがき