読書案内

お薦めの本を紹介します

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)ー100年時代の人生戦略ー

LIFE  SHIFT

              ライフシフト

      100年時代の人生戦略

         リンダグラットン

       アンドリュースコット

    池村 千秋 東洋経済新報社

 

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)

 

 

 本書のような本がついにベストセラーになったということ自体が、超高齢社会の進展を物語っています。10数年位前から、同じような内容は、断片的には、高齢者に関する専門家のあいだでは、分科会や、ワークショップなどで語られてはいたようです。
 ビジョンは提示されましたが、意識が変わり、行動が変わるためにはさらに長い時間かかります。行政の制度は、その後追いとして、人々の意識や行動の変化に対応するために変えられるのが通常です。そうすると、われわれの社会は間に合うのだろうか。
 2025年問題のあとには、2040年問題がやってきます。2040年問題とは、団塊の世代のジュニアが65歳になったとき、子供の数が少ないかれらの世代は、支える側が一層やせ細っており、その後10年間、おそらく少子高齢化の問題がもっとも先鋭化します。2025年には間に合わない。2040年にも間に合わない。なぜならば、少子高齢化の問題は、1960年代からすでに叫ばれていたし、にもかかわらず、社会構造も、社会保障制度も、少子化対策も、結局のところ、トレンドは大きく変わっていないからです。
 本書のライフシフトの教訓は、第2章のジャックとジミーとジェーンの人生モデルをよく読んで、これからは、国に頼らず、独力で生きていく前提で生活設計を立てなければならない、それを肝に銘じなければならないということを、教えてくれるます。

内容紹介

誰もが100年生きうる時代をどう生き抜くか。
働き方、学び方、結婚、子育て、人生のすべてが変わる。
目前に迫る長寿社会を楽しむバイブル。
世界で活躍するビジネス思想家が示す、新しい人生のビジョン。
みんなが足並みをそろえて教育、勤労、引退という
3つのステージを生きた時代は終わった。

では、どのように生き方、働き方を変えていくべきか。
その一つの答えが本書にある。

100歳時代の戦略的人生設計書。

《本書の主な内容》
●人生はより長く、健康になる。
エクスプローラー、インディペンデント・プロデューサー、ポートフォリオ・ワーカーという新しいステージが出現する。
●スキル、知識、仲間、評判、健康、生活、友人関係、アイデンティティ、人的ネットワーク、オープンな姿勢が大事
労働市場に存在する職種は、これから数十年で大きく入れ替わる。
●100歳になった自分がいまの自分をどう見るかを考える。
●男女の役割分担が変わる。質の高いパートナー関係が必要になる。
●数十年単位での役割の調整が必要。高度な信頼関係と徹底した計画が不可欠。
●各人のアイデンティティが変わっていく。

 

過去200年間、人の平均寿命は伸び続けてきた。そこから導かれる予測によれば、2107年には主な先進国では半数以上が100歳よりも長生きするのだという。すると、80歳程度の平均寿命を前提に〈教育〉〈仕事〉〈引退〉の3段階で考えられてきたライフコースは抜本的に考え直されなければならない。そんな難題に英国の経営学者と経済学者のコンビが正面から向き合った本が、ハードな内容をものともせず、ベストセラー街道を邁進中だ。

「100年ライフの時代には、長い老後のためにお金を蓄えることも当然必要です。しかしそれだけではなく、変化し続ける環境に対応するためには、ライフ(人生)とワーク(仕事)のバランスが重要なんです」(担当編集者の佐藤朋保さん) 

たとえば、機械化やAIの進歩を受けて雇用はどう変わるのか。予測しづらい変化に対処するための人的ネットワークをいかに構築するべきか。健康にはどう留意すべきか……などなど。本書が示す新たな問題の切り口は、極めて多彩だ。

「弊社のウェブメディアでは、著名人や有識者の方に、100年ライフと日本人の新しい生き方を示してもらっています。各地での読書会やSNSでの反響からも、みなさんが『自分ごと』として本書の内容を受け止め、考えた様子が伝わってきますね」(佐藤さん)

老若男女問わず、人生の岐路に立つ人すべてに、考えるヒントをくれる1冊だ。

評者:前田 久

引用元:週刊文春 2017.06.01号掲載

著者等紹介

リンダ グラットン(Linda Gratton)
ロンドン・ビジネススクール教授。人材論、組織論の世界的権威。
2年に1度発表される世界で最も権威ある経営思想家ランキング「Thinkers50」では2003年以降、毎回ランキング入りを果たしている。2013年のランキングでは、「イノベーションのジレンマ」のクリステンセン、「ブルー・オーシャン戦略」のチャン・キム&モボルニュ、「リバース・イノベーション」のゴビンダラジャン、競争戦略論の大家マイケル・ポーターらに次いで12位にランクインした。組織のイノベーションを促進する「Hot Spots Movement」の創始者であり、85を超える企業と500人のエグゼクティブが参加する「働き方の未来コンソーシアム」を率いる。
邦訳された『ワーク・シフト』(2013年ビジネス書大賞受賞)、『未来企業』のほか、Living Strategy, Hot Spots, Glowなどの著作があり、15を超える言語に翻訳されている。

アンドリュー スコット(Andrew Scott)
ロンドン・ビジネススクール教授。ロンドン・ビジネススクール経済学教授、前副学長。オックスフォード大学を構成するオール・ソウルズカレッジのフェローであり、かつ欧州の主要な研究機関であるCEPRのフェローも務める。2005年より、モーリシャス大統領の経済アドバイザー。財政政策、債務マネジメント、金融政策、資産市場とリスクシェアリング、開放経済、動学モデルなど、マクロ経済に主要な関心を持つ。

池村 千秋(いけむら・ちあき)
翻訳者。リンダ・グラットンの前作『ワーク・シフト』のほか、ミンツバーグ『私たちはどこまで資本主義に従うのか』『MBAが会社を滅ぼす』、モレッティ『年収は「住むところ」で決まる』、キーガンほか『なぜ人と組織は変われないのか』、ピンク『フリーエージェント社会の到来』、コーエン『大停滞』など、ビジネス・経済書の翻訳を数多く手がける。

目次

日本語版への序文
序 章 100年ライフ
第1章 長い生涯――長寿という贈り物
第2章 過去の資金計画――教育・仕事・引退モデルの崩壊
第3章 雇用の未来――機械化・AI後の働き方
第4章 見えない「資産」――お金に換算できないもの
第5章 新しいシナリオ――可能性を広げる
第6章 新しいステージ――選択肢の多様化
第7章 新しいお金の考え方――必要な資金をどう得るか
第8章 新しい時間の使い方――自分のリ・クリエーションへ
第9章 未来の人間関係――私生活はこう変わる
終 章 変革への課題

 

参考図書

まんがでわかる LIFE SHIFT

まんがでわかる LIFE SHIFT

 

 

ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉

ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉

 

 

未来の働き方を考えよう 人生はニ回、生きられる (文春文庫)

未来の働き方を考えよう 人生はニ回、生きられる (文春文庫)