生命はなぜ生まれたのか
地球生物の起源の謎に迫る
高井 研 幻冬舎新書
生命はなぜ生まれたのか―地球生物の起源の謎に迫る (幻冬舎新書)
- 作者: 高井研
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2011/01/01
- メディア: 単行本
- 購入: 2人 クリック: 68回
- この商品を含むブログ (16件) を見る
専門家向けではなく、一般向けに書かれたといえ、難解な部分もありますが、文体がくだけた表現であり興味深く読むことができます。話は、現在の深海熱水活動域から40億年前の原始地球さらには宇宙空間へとおよび壮大なスケールとなります。
本書のテーマは「生命はこの地球のどこでどのように誕生したのか?」
エッセンスはp92の以下の言葉に集約されています。
・生命の定義?あんまり最近は気にしていない。
・生命を個々の生命で考えた事はない。
・生命を取り囲み、生命を育んだ環境(生命圏)の在り方やその中のエネルギーとか物質の流れがむしろ重要。
・ずっと続いた生命の繋がりこそ心が揺さぶれれる。
そして「生命圏に於けるエネルギー論」で生命を捉えるべし、と言い切る著者。
だから地球以外の惑星にも生命は間違いなく普遍的に存在すると筆者は頑なに信じてます。そして、タイムリーなことに、地球型惑星(水が液体で存在し得る星)の発見が相次いで報道されています。
40億年前に誕生した先祖は凡そ20億年前にミトコンドリアを得て真核生物に進化した。そして6億年前に多細胞化し、「先カンブリアの大爆発」に至る。
著者はこの「地球と生命の渾然一体となった進化過程」を一つ一つをスナップショットではなく、あたかも映画の様に流れるストーリーとして解き明かしています。
内容紹介
オゾン層もなく、宇宙から有害光線が直接地表に降り注ぐ、40億年前の原始地球。過酷な環境のなか、深海には、地殻を突き破ったマントルと海水が化学反応を起こし、400度の熱水が噴き出すエネルギーの坩堝があった。その「深海熱水孔」で生まれた地球最初の“生き続けることのできる”生命が、「メタン菌」である。光合成もできない暗黒の世界で、メタン菌はいかにして生態系を築き、現在の我々に続く進化の「共通祖先」となりえたのか。その真理に世界で最も近づいている著者が、生物学、地質学の両面から、生命の起源に迫る、画期的な科学読本。
著者紹介
高井 研(たかい・けん)
1969年、京都府生まれ。地球生物学者や宇宙生物学者と名乗ることが多い。専門は、深海や地殻内といった地球の極限環境に生息する微生物や生物の生理・生態や、その生態系の成り立ちと仕組みの解明。97年京都大学大学院農学研究科水産学専攻博士課程修了。日本学術振興会特別研究員、科学技術振興事業団科学技術特別研究員などを経て、2009年より、独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)海洋・極限環境生物圏領域深海・地殻内生命圏研究プログラムプログラムディレクター及び、プレカンブリアンエコシステムラボラトリーユニットリーダー。
目次
第1章 生命の起源を探る、深海への旅
第2章 地球の誕生と、生命の誕生
第3章 生命発生以前の化学進化過程
第4章 生物学から見た生命の起源と初期進化
第5章 エネルギー代謝から見た持続的生命
第6章 最古の持続的生命に関する新仮説
最終章 To be continued
あとがき
参考文献
参考図書
爆笑問題のニッポンの教養 深海に四〇億年前の世界を見た! 地球微生物学
- 作者: 高井研,太田光,田中裕二
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/04/24
- メディア: 新書
- クリック: 2回
- この商品を含むブログ (4件) を見る