読書案内

お薦めの本を紹介します

33点の絵画から読み解く、私たちのほんとうの姿

「怖い絵」で人間を読む

 中野 京子  NHK出版 生活人新書

「怖い絵」で人間を読む 生活人新書

「怖い絵」で人間を読む 生活人新書

 

 内容紹介

33点の絵画(オールカラー)から読み解く、私たちのほんとうの姿。名画は語る。人間って、怖い……。
名匠ベラスケスの手による、一見かわいらしい王子の肖像画。しかし、その絵が生まれた“時代の眼”で見ていくと、人間心理の奥底に眠る「恐怖」の側面が浮かび上がる。悪意、呪縛、嫉妬、猜疑、傲慢、憤怒、淫欲、そして狂気……。カラー掲載の名画33点から見えてくる人間の本性とは??本商品は、カラーデバイスに最適化された構成となっています。 

出版社からのコメント

編集担当者より
本書は、好評を博したNHK教育番組「知る楽 探究この世界」2010年2~3月のテキスト『「怖い絵」で人間を読む』をもとに加筆・再編集したもので、「絵の視覚的恐怖」をより発展させた、悪意・嫉妬・猜疑・憤怒・傲慢・淫欲・狂気といった「人間そのものの持つ怖さ」に重点を置いています。

ルネサンスから印象派までの西洋名画33点をカラーで掲載し、それを軸に、引き出し線を用いた著者自身の手からなる詳細な図解解説を施すことで、西洋名画に秘められた「人間の怖さ」を解き明かす、興味深い一書となっています。
 
スペインの名匠ベラスケスによる晩年の傑作『フェリペ・プロスペロ王子』をはじめ、 ゴヤの『我が子を喰らうサトゥルヌス』やレーピンの『イワン雷帝とその息子』など、 その絵が描かれた当時の西洋社会の歴史的背景、画家や注文主の思惑をあばくことで、それぞれの絵画の裏に巧妙に隠された「怖さ」のシンボルやメタファーが忽然と浮かび上がってきます。

ベックリンの『死の島』は全5点のヴァージョンを比較、グリューネヴァルト『イーゼンハイムの祭壇画』は解体部分図の全てに解説を記すなど、番組やテキスト時の内容以上に、よりたくさんの情報が本書には盛り込まれています。また、カラー図版が豊富なことで、美術評論書としてだけでなく、いわゆるビジュアルブックとしても楽しむことができます。

著者が提唱する絵画鑑賞法(①本文で絵が描かれた時代背景を まず“読み”こみ、②その基礎知識をつけたあとで図解入りの絵を“見る”)を、博物館に行くこともなく、高い図鑑を買うこともなくして実践できる贅沢な一書となっています。
 

著者紹介

中野 京子(なかの・きょうこ)
北海道生まれ。早稲田大学講師。専門はドイツ文学・西洋文化史。著書に「名画の謎」シリーズ(文藝春秋)、「怖い絵」シリーズ(角川文庫)、「名画で読み解く 王家12の物語」シリーズ(光文社新書)、「印象派で近代を読む」(NHK新書)など多数。連載に、日経新聞夕刊「プロムナード」(木曜)、北海道&東京新聞夕刊「橋をめぐる物語」など。
 

目次

はじめに
運命の章―ベラスケス『フェリペ・プロスペロ王子』
呪縛の章―ヴィンターハルター『エリザベート皇后』
憎悪の章―ダヴィッド『マリー・アントワネット最後の肖像』
狂気の章―ゴヤ『我が子を喰らうサトゥルヌス』
喪失の章―ベックリン『死の島』
憤怒の章―レーピン『イワン雷帝とその息子』
凌辱の章―シーレ『死と乙女』
救済の章―グリューネヴァルト『イーゼンハイムの祭壇画』
関係画家年表
あとがき
 

 参考図書 

探究この世界 2010年2-3月 (NHK知る楽/月)

探究この世界 2010年2-3月 (NHK知る楽/月)

 

 関連サイト

business.nikkei.com