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自己への目覚めが他者への慈しみに

 仏教、本当の教え

インド、中国、日本の理解と誤解

  植木 雅俊  中公新書

 内容紹介

紀元前五世紀のインドで生まれた仏教。中国では布教に漢訳の経典が用いられたのに対し、日本は漢文のまま経典を輸入した。両国においてサンスクリットの原典は、ほとんど顧みられていない。中国は漢訳ならではの解釈を生み出し、日本では特権的知識階級である僧が、意図的に読み替えた例もある。ブッダの本来の教えをサンスクリット原典から読み解き、日中両国における仏教受容の思惑・計算・誤解を明らかにする。

著者紹介

植木 雅俊(うえき・まさとし)

1951(昭和26)年、長崎県生まれ。仏教研究家。九州大学大学院理学研究科修士課程修了、東洋大学大学院文学研究科博士後期課程中退。91年から東方学院で中村元氏のもとでインド思想・仏教思想論、サンスクリット語を学ぶ。2002年、お茶の水女子大学で人文科学博士号を取得(男性初)。『梵漢和対照・現代語訳法華経』上・下巻(岩波書店、2008年)で毎日出版文化賞を受賞。

目次

   はしがき

序章 日本における文化的誤解(本朝・震旦・天竺の三国;「中国」と呼ばれたインド ほか)
第1章 インド仏教の基本思想タゴールの仏教評価;徹底した平等―生まれによる差別の否定 ほか)
第2章 中国での漢訳と仏教受容(訳経者たちの顔ぶれ;音写語のいろいろ ほか)
第3章 漢訳仏典を通しての日本の仏教受容(漢訳中心の仏教受容;笑えない笑い話 ほか)
第4章 日中印の比較文化(日本語になったサンスクリット語;インド・中国から来たコスモポリタンたち ほか)

   あとがき

   参考文献