人口知能と経済の未来
2030年雇用大崩壊
井上 智洋 文春新書
内容紹介
人工知能(AI)が目覚しい発展を遂げています。小説を書いたり、囲碁をしたり、日々ニュースを賑わせています。
また、AIを搭載したロボットも活躍しています。pepperは感情を読み取れますし、ダヴィンチは外科手術をこなしますし、iPhoneに搭載されているSiriは道案内もしてくれます。
このまま技術開発が進んでいくとどうなるのか……? 2045年に起こると噂される「シンギュラリティ」より前、2030年には、AIが人間の頭脳に追いついてしまう可能性があるのです。
ホワイトカラー事務職は真っ先に職を奪われます。医者も弁護士も失業の危機に瀕しています。最大で人口の9割が失業する可能性もあると筆者は推計しています。一部の資本家以外の労働者は飢えて死ぬしかないのでしょうか?
AIによって奪われた労働は、BIで補完しよう! マクロ経済学者である筆者はそう訴えます。BIとはベーシックインカムのこと。社会保障をBIに一元化して、子供から大人まで一律の生活保障を支給するという仕組みです。
AIの未来、資本主義の未来、労働の未来、社会保障の未来まで、気鋭の経済学者が語りつくします!
出版社からのコメント
「AIが発達すると、2030年以降には人口の1割しか働かない世界が有り得る――!?」 そんなショッキングな推計をするのが、経済学から見た人工知能研究の第一人者・井上智洋氏です。失業した人類はAIに働いてもらって遊んで暮せるのでしょうか? はたまた、一部の富める人と貧しい労働者との格差が広がる悪夢が訪れるのでしょうか? 今後の経済の未来について、技術の紹介から経済の分析まで、優しい語り口でお答えします。
著者紹介
井上 智洋(いのうえ・ともひろ)
駒澤大学経済学部講師。慶應義塾大学環境情報学部卒業、早稲田大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。2015年4月から現職。博士(経済学)。専門はマクロ経済学、貨幣経済理論、成長理論、人工知能と経済学の関係を研究するパイオニアとして、学会での発表や政府の研究会などで幅広く発言。AI社会論研究会の共同発起人をつとめる。著者に『新しいJavaの教科書』(ソフトバンククリエイティブ, 2006年)、『人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊』(文春新書, 2016年)、『人口超知能』(秀和システム, 2007年)、『ヘリコプターマネー』(日本経済新聞出版社, 2016年)など。
目次
はじめに
第1章 人類vs.機械
ホーキング博士の憂鬱;「ターミネーター」は現実化するのか?ほか
第2章 人工知能はどのように進化するか?
第五世代コンピュータの失敗;確率・統計的なアプローチ ほか
第3章 イノベーション・経済成長・技術的失業
日本は衰退する運命にあるのか?;果実は食べ尽くされたか?ほか
第4章 第二の大分岐―第四次産業革命後の経済
第四次産業革命をめぐる覇権争い;汎用AIは社会にどのように導入されていくか?ほか
第5章 なぜ人工知能にベーシックインカムが必要なのか?
生活保護は労働者を救うか?;ソ連型社会主義は復活するか?ほか
おわりに
注