読書案内

お薦めの本を紹介します

人類が知っていることすべての短い歴史

人類が知っていること

すべての短い歴史(上)

          ビル・ブライソン 

   [訳]楡井浩一  新潮文庫

人類が知っていることすべての短い歴史(上) (新潮文庫)

人類が知っていることすべての短い歴史(上) (新潮文庫)

 

 

  本書は、宇宙物理学,地球物理学,化学,原子物理学などの研究の歴史を解説したものです。科学史を系統的に述べるのではなく,いくつかの特定のトピックスを取り上げて,科学の本質を軽妙に説明してます。著者はサイエンスライターですが、自然科学の専門家ではないため,多くの文献を調べ,科学者の視点ではなく「素人」の視点で書いているため、たいへん分かりやすいです。
 一般人向けの科学書なのに,図や写真などは一切ありません。すべて文章による説明なのでそこが難点かもしれません。それでも、本書が読み物として面白いのは、学問的に重要でない人間的エピソードや、主流からはずれた知見の記述が間を埋めているからだと思います。

 内容紹介

こんな本が小学生時代にあれば……。宿題やテストのためだけに丸暗記した、あの用語や数字が、たっぷりのユーモアとともにいきいきと蘇る。ビッグバンの秘密から、あらゆる物質を形作る原子の成り立ち、地球の誕生、生命の発生、そして人類の登場まで――。科学を退屈から救い出した隠れた名著が待望の文庫化。138億年を1000ページで学ぶ、前代未聞の“宇宙史”、ここに登場。

著者等紹介

ビル・ブライソン(Bryson Bill)

1951年、アイオワ州デモイン生れ。イギリス在住。英語や紀行、アウトドアなど幅広いテーマでベストセラーのある作家。日本での訳書に『英語のすべて』『ビル・ブライソンのイギリス見て歩き』『ことばが語るアメリカ史』『ドーナッツをくれる郵便局と消えゆくダイナー』『シェイクスピアについて僕らが知りえたすべてのこと』などがある。『人類が知っていることすべての短い歴史』でイギリス王立協会科学図書賞とデカルト賞を受賞した。


楡井 浩一(にれい・こういち)
翻訳家。訳書に『文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの』(ジャレド・ダイアモンド草思社)、『人類が知っていることすべての短い歴史』(ビル・ブライソン、NHK出版)、『価格戦争は暴走する』(エレン・ラペル・シェル、筑摩書房)、『美しき姫君 発見されたダ・ヴィンチの真作』(マーティン・ケンプ、パスカル・コット、草思社)、『まだ科学で解けない13の謎』(マイケル・ブルックス草思社)など多数。

目次

序章
第I部 宇宙の道しるべ
1 宇宙の創りかた
すべては無から/宇宙の果てには何がある
2 ようこそ太陽系へ
太陽系の端を見にいく/地球外生命体が存在する確率
3 エヴァンズ師の宇宙
巨星の死を待つ牧師/近くで星が爆発したら
第II部 地球の大きさ
4 物の測定
ニュートンとハレーの歴史的問答/いかにして地球のサイズを測ったか
5 石を割る者たち
紳士を興奮させた地質学/地球年表作成への飽くなき挑戦
6 科学界の熾烈な争い
初の恐竜発見を見過ごしたアメリカ/無慈悲なイギリスの古生物学者/恐竜発掘を加速させた世紀のいがみ合い
7 基本的な物質
化学が近代化に遅れたわけ/秩序をもたらした元素の周期表
第III部 新たな時代の夜明け
8 アインシュタインの宇宙
「宇宙を満たすエーテル」への執着/時間は絶えず変化する/遠ざかる銀河に着目したハッブル
9 たくましき原子
あらゆるものは原子でできている/消えては現われる奇妙な電子
10 鉛を取り出す
欲と嘘と化学の悪用/地球の年齢測定の鍵は宇宙から
11 マーク王にクォーク三つ
素粒子物理学者を悩ませる基本原理の山/宇宙は何からできているのか
12 大地は動く
大陸間にかけられた幻の橋/プレートテクトニクスでも解けない数々の謎
第IV部 危険な惑星
13 激突!
地球の軌道をしきりに横切る小惑星/シューメーカー・レヴィ彗星衝突の衝撃
14 足もとの炎
地震は予測できるのか/地球が内部に抱える高熱の液体
15 危険な美しさ
気まぐれな超火山/足もとに控えるマグマ

参考図書

人類が知っていることすべての短い歴史(下) (新潮文庫)

人類が知っていることすべての短い歴史(下) (新潮文庫)

 

 

世界のたね 真理を探求する科学の物語 (上) (角川文庫)

世界のたね 真理を探求する科学の物語 (上) (角川文庫)

 

 

世界のたね 真理を探求する科学の物語 (下) (角川文庫)

世界のたね 真理を探求する科学の物語 (下) (角川文庫)

 

 

 関連サイト

『人類が知っていることすべての短い歴史』文庫解説 by 成毛 眞 - HONZ


https://honz.jp/articles/-/40809 
2014/10/23 - 人類が知っていることすべての短い歴史() (新潮文庫) ... 最先端のサイエンスが、何百年前に生きた科学者たちの研究の積み重ねのに築かれたものであることが一覧できるだけでなく、現代を生きる科学者の素顔に触れることもできるのだ ...
 
 

科学の森へ分け入ったベストセラー作家 『人類が知っていることすべての ...


http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5025 
2015/05/29 - 軽薄な言い方かもしれないが、「死ぬまでに読んでおきたい本」があるとすれば、本書はまちがいなく、その候補に挙げられるべきだろう。願わくは、死ぬ間際でなく、人生のなるべく早い時期がいい。 『人類が知っていることすべての短い歴史
 
 

こだわり天文書評:『人類が知っていること すべての短い歴史(上)』 - 星ナビ ...


https://www.astroarts.co.jp/hoshinavi/magazine/books/individual/4102186212-j.shtml 
2016/04/05 - やや古い本だが、(今回2016年4月に同時に取り上げた)リー・ビリングズさんの本「五〇億年の孤独 宇宙に生命を探す天文学者たち」でも推薦されていたので、ここで取り上げさせて貰った。なお、本書には生物学史と凄い量の文献集を含む ...