ビッグ・クエスチョン
<人類の難問>に答えよう
[訳] 青木 薫 NHK出版
本書は、 2018年3月に死去したホーキング博士による、人類の難問(=ビッグ・クスチョン)とそれに対する博士の考察を述べた本です。ビッグ・クエスチョンとは、例えば「宇宙はどのように始まったのだろうか?」というような、われわれの住む世界や宇宙に関する根本的な疑問で、本書では10の問いを設定し、各々章立てでまとめられています。
本書では、宇宙物理学とその基礎になるニュートン力学、アインシュタインの一般相対性理論、シュレーディンガーの量子力学が一連のものとして、ほとんど数式を用いることなく平易に語られています。
しかしながら、理論物理学を専門とする博士だけに、本書では所々でかなり難解な内容も出てきます。第4章「未来を予言することはできるのか?」では、唐突に量子力学の話になったり、第5章「ブラックホールの内部には何があるのか?」では、前半こそ星の重力崩壊や物体の脱出速度、事象地平などの基本的な解説から始まるものの、後半は一気に難しくなります。第6章「タイムトラベルは可能なのか?」も、話としては興味深いが、相対性理論や超ひも理論などの一定の知識が必要です。
第7章「人間は地球で生きていくべきなのか?」では、地球絶滅の可能性が高いことを理由に宇宙への移住を真面目に考えている内容で、気候変動、核開発、遺伝子工学、人工知能などにも話が及びます。続く第8章「宇宙に植民地を建設するべきなのか?」では、太陽系内の移住先として月と火星をあげ、他の星がなぜ住むのに適さないかという理由もあげつつ解説がなされて、かなり面白い内容です。
内容紹介
「世界でもっともすぐれた科学者」と名高いホーキング博士が生涯をかけて挑んだのは、誰も解き明かしていない究極の問いだった。「宇宙の始まりとは?」「人類は地球に住み続けるべきか?」「AIは人間を超えるか?」など10の難問に、ウイットを交えながら明快に答える。今を生きる私たちへのメッセージが詰まった、博士からの最良の贈り物。
ホーキング、最後の書き下ろし
NHK「クローズアップ現代+」“ホーキングの遺言"(3月6日放送)で話題!
天才物理学者が生涯をかけて紡いだ希望のメッセージとは?
地球温暖化が進み、核の脅威が増し、人工知能が人間を脅かす時代に、
私たちはどのように考え、未来を形作っていけばよいのか――。
誰もが抱いている10の疑問に博士がわかりやすく答えた全人類への最良の贈り物。
◆本書登録の10のビッグ・クエスチョン
1 神は存在するのか?
2 宇宙はどのように始まったのか?
3 宇宙には人間のほかにも知的生命は存在するのか?
4 未来を予言することはできるのか?
5 ブラックホールの内部には何があるのか?
6 タイムトラベルは可能なのか?
7 人間は地球で生きていくべきなのか?
8 宇宙に植民地を建設するべきなのか?
9 人工知能は人間より賢くなるのか?
10 より良い未来のために何ができるのか?
なぜビッグ・クエスチョンを問うべきなのか
私は、本書に取り上げたビッグ・クエスチョンを考えると胸が躍るし、それらを探究することに情熱を傾けている。
その興奮と情熱を、みなさんに伝えたい。私たちが向かう未来を、誰もが行きたいと思うような未来にするために、力を合わせようではないか。
スティーヴン・ホーキング
(本書より抜粋)
著者等紹介
スティーヴン・ホーキング (Stephen William Hawking)
1942.1.8-2018.3.14。イギリスのオックスフォード生まれ。オックスフォード大学、ケンブリッジ大学大学院で物理学と宇宙論を専攻。21歳のときに運動ニューロン疾患を発症。37歳でアイザック・ニュートンも就任した名誉あるルーカス教授職に選出され、30年にわたり同職を務めた。王立協会フェロー、全米科学アカデミー会員であったほか、2009年にはアメリカのオバマ大統領から大統領自由勲章を授与された。ケンブリッジ大学理論宇宙論センターに研究責任者として在籍しながら本書をまとめている最中の2018年3月に死去(享年76)。著作に『ホーキング、宇宙を語る』(早川書房)、『ホーキング、未来を語る』(ソフトバンク クリエイティブ)、『ホーキング、宇宙と人間を語る』(エクスナレッジ)など。
青木 薫(あおき・かおる)
1956年生まれ。翻訳家。ポピュラーサイエンスの訳書多数。サイモン・シン『フェルマーの最終定理』『暗号解読』『ビッグバン宇宙論』『宇宙創成』『数学者たちの楽園:「ザ・シンプソンズ」を作った天才たち』、エドワード・フレンケル『数学の大統一に挑む』、レナード・ムロディナウ『ユークリッドの窓』、アミール・D・アクゼル『無限に魅入られた天才数学者たち』など。著書に『宇宙はなぜこのような宇宙なのか』がある。2007年度日本数学会出版賞受賞。
目次
刊行にあたって
はめに エディ・レッドメイン
なぜビッグ・クエスチョンを問うべきなのか?
1 神は存在するのか?
2 宇宙はどのように始まったのか?
3 宇宙には人間のほかにも知的生命が存在するのか?
4 未来を予言することはできるのか?
5 ブラックホールの内部には何があるのか?
6 タイムトラベルは可能なのか?
7 人間は地球で生きていくべきなのか?
8 宇宙に植民地を建設するべきなのか?
9 人工知能は人間より賢くなるのか?
10 より良い未来のために何ができるのか?
あとがき ルーシ・ホーキング
謝辞
解説 スティーヴ・ホーキングの思い出とともに キップ・S・ソーン
訳者 あとがき
参考図書
ホーキング、宇宙を語る―ビッグバンからブラックホールまで (ハヤカワ文庫NF)
- 作者: スティーヴン・W.ホーキング,Stephen W. Hawking,林一
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1995/04/01
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 24回
- この商品を含むブログ (66件) を見る
関連サイト
人類の未来を最後の著書で予言した宇宙物理学者スティーヴン・ホーキング ...
https://www.sankei.com/economy/news/190415/prl1904150285-n1.html