読書案内

お薦めの本を紹介します

占領下日本ー第二次世界大戦敗戦から国際社会復帰までー

占領下日本

  半藤一利・竹内修司

  保坂正康・松本健一

         筑摩書房

 

占領下日本

占領下日本

 

 

本書は、著名な作家、教授の対談形式で幾つかのテーマについて語られています。また、400ページを超えるボリュームが有りますが、たいへん読みやすいです。

本当に【無条件】降伏だったのか、とか、マッカーサーは何者だったのかとか、東京裁判についてとか、警察予備隊自衛隊)設立の背景とか、章立ては一般的ですが、特に印象的だったのは昭和天皇についてかなり客観的に語られていました。

昭和天皇マッカーサーに利用されたのではなく、逆に彼を上手く利用するような政治手腕を持っていたらしいです。 沖縄の米国への租借と引き換えに独立を認めさせようとした点など、憲法や一般大衆の認識とは違い、実に堂々と『国家元首』として振舞っていて、マッカーサーがそれにかなり振り回されたていたという論評が興味深かいものでした。 極めて優れた政略家だった昭和天皇マッカーサーは10回以上も会見し、昭和天皇が色々と政治取引を仕掛けていたようです。占領下での昭和天皇の政治手腕を知り、驚きました。

 内容紹介

天皇の「人間宣言」、新憲法の制定、東京裁判の成り行き、検閲の実態、数々の謀略事件、そして朝鮮戦争…新生日本のグランド・デザインをめぐる国内の相克がGHQ内部の権力闘争と絡み合い、いまだに多くの謎と未解決の事件を孕んだまま過ぎ去ろうとしない時代の真実に迫る。現代日本を呪縛する「占領下」の出来事の深層。

著者紹介

半藤 一利(はんどう・かずとし)

1930年、東京・向島生まれ。東京大学文学部卒業後、文藝春秋入社。松本清張司馬遼太郎らの担当編集者をつとめる。「週刊文春「文藝春秋」編集長、専務取締役などをへて作家。「歴史探偵」を名乗り、おもに近現代史に関する著作を発表。『漱石先生ぞな、もし』(正続、文春文庫 新田次郎文学賞)、『ノモンハンの夏』(文春文庫 山本七平賞)など著書多数。『昭和史1926‐1945』『昭和史 戦後篇 1945‐1989』(共に平凡社ライブラリー)で毎日出版文化賞特別賞、2015年、菊池寛賞受賞。

竹内 修司(たけうち・しゅうじ)

1936年生まれ。東京外国語大学を卒業後、文藝春秋に入社し、雑誌・書籍の編集に携わる。2000年、退社。文教大学情報学部教授を経て、現在はフリー。著書に『幻の終戦工作―ピース・フィーラーズ 1945夏―』(文春新書)、『占領下日本』(共著、筑摩書房)がある。 

保阪 正康(ほさか・まさやす)

1939(昭和14)年、北海道生れ。同志社大学文学部卒業後、編集者などを経てノンフィクション作家に。『昭和史七つの謎』『昭和陸軍の研究』『医療崩壊』『愛する人を喪ったあなたへ』『あの戦争は何だったのか』『田中角栄の昭和』『真説 光クラブ事件』「昭和史の大河を往く」シリーズ『昭和の怪物 七つの謎』など著書多数。とくに昭和史、医療問題に関する作品に定評がある。2004(平成16)年『昭和史講座』の刊行で菊池寛賞を、2017年『ナショナリズムの昭和』で和辻哲郎文化賞を受賞。

松本 健一(まつもと・けんいち)

1946年群馬県に生まれる.東京大学経済学部卒業.麗澤大学教授,評論家.著書『竹内好「日本のアジア主義」精読』『大川周明』『竹内好』(岩波現代文庫)『評伝北一輝』(全5巻,岩波書店),『近代アジア精神史の試み』『白旗伝説』『砂の文明・石の文明・泥の文明』『民族と国家』ほか多数.

目次

はじめに

「八月十五日」の体験
日本は「無条件降伏」をしたか
「一億総懺悔」の問題点
天皇マッカーサーとの会談の真実
天皇が「人間」となった日
堕落論」および「俳句第二芸術論」の衝撃
憲法第九条を発案したのは誰か
当用漢字・新かなはどうして採用になったのか
検閲はどう行なわれていたか
国敗れてハダカありき
“日本人民共和国”成立の可能性
『はるかなる山河』に生き残ったことの意味
東京裁判でパル判事が主張したこと
「デス・バイ・ヘンギング」という判決
『日本の黒い霧』の推理は正しいか
朝鮮戦争は「神風」だった?:古橋・湯川・黒澤の活躍
警察予備隊が編成されたとき
マッカーサーが忘れられた日

あとがき

関連年表

座談会参加者紹介 

参考図書

終戦後史 1945-1955 (講談社選書メチエ)

終戦後史 1945-1955 (講談社選書メチエ)

 

 

日本占領史1945-1952 東京・ワシントン・沖縄 (中公新書)
 

 

 

 関連サイト 

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https://diamond.jp/articles/-/75746 
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